下北沢通信

中西理の下北沢通信

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アメフラっシ『Wings and Winds』@Zepp Haneda

アメフラっシ『Wings and Winds』@Zepp Haneda

www.youtube.com
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ももクロの後輩グループの中でまだ知名度こそ低いが私がもっとも注目しているのが「アメフラっシ」*1である。昨年1年間は数度のライブは行ったものの、コロナ禍のために停滞を強いられた感もあったが、その間にメンバーそれぞれが実力を蓄え、名実ともに若手グループの中では屈指の存在となった。今年の活動の飛躍のためにスタートダッシュを切ろうという注目のライブが『Wings and Winds』@Zepp Hanedaである。
こんな風に考えて臨んだライブであったが、実はこの日はもともと注目していたあいらもえかの二人以上にゆずはなの二人に自然と目が行った。小島はなの充実ぶりが素晴らしい。アメフラっシはアイドル界の中でも歌がうまいグループといえると思うがそれを支えてきたのが、愛来、萌花の二人だった。ところがこの日の小島はなの歌唱はその声の伸び、安定度において先輩二人を凌駕するほどのものを感じ、確実にこのグループのエース的存在に成長しつつあることを感じさせた。
一方、ダンスで目が行くのが市川優月(ゆづ)。柔軟性が感じられながら、力強さもあるゆづのダンスはアメフラっシのダンスにおいて確実に重要なアクセントになってきていている。
この日は第一部、第二部の二部構成。曲順などは大幅に変わったが、曲の入れ替わりは数曲にとどまった。もう少し演出面などで大きく変えてくるかなとも予想していたため、それほど大きく印象が変わらなかったことに若干の肩透かし感はないではなかったけれども、余計な演出がなかったことで、その分ストレートに実際のライブの歌、ダンスも含めた完成度の高さがうかがえるという意味では現段階ではこれがベストだったかもしれない。
 第一部の『Wings』のテーマはこれまでの集大成だろうか。ライブは「STATEMENT」からはじまった。この歌は歌詞の「ああ、頑張れとかもうしてるよ、それでも届かない」「負け犬なら遠吠えしよ、声枯れても」の歌詞からもうかがえるようにアメフラッシの魂の叫びをそのまま歌にしたようなところがあり、最後の愛来の「このまま終わるもんか」のセリフの通り、戦闘的アイドル集団アメフラっシのアンセムのような楽曲。対戦型アイドルイベント「ライブスタイルダンジョン」で第1回優勝者で絶対王者と思われていたukka(当時は桜えび~ず)をこの歌を擁して打ち破る番狂わせから優勝したグループ浮上の契機となった楽曲でもあった。この曲を聴いて驚いたのは以前からこの曲を引っ張る原動力となっていた愛来、萌花のよさはもちろんだが、ゆずはなもソロ部分で歌唱の力を身につけそれぞれが一本芯が通ったような存在感を見せていたことだ。その分全体のバランスもよくお互いがお互いを引っ張り合い高みに上っていくような勢いを感じさせるパフォーマンスであった。
第1部を象徴するような曲目がアンコール前、本編最後の「勇気のシルエット」続いてこの日事実上初披露となった「Staring at You」という曲の並びであった。3Bjr時代から歌ってきた「勇気のシルエット」はアメフラっシになっても歌い継がれ4人の再スタートの門出の曲などこれまでは特別な曲として歌い継がれてきたが、今回はアメフラっシのレパートリーの1曲として普通に入っていた構成に逆にグッと来るところがあった。前身である3Bjr時代のレパートリーである「勇気のシルエット」からアメフラっシとファンをつなぐ新たなアンセムとなりそうな「Staring at You」へとつないでいき、3Bを連想させる3本指から4人で星(スター)を作り、足りない一辺をファンに3本の指で掲げてもらいという振付に3B時代から幼かった彼女らを指導してきて、ここまで育て上げたANNA先生の心意気を感じざるを得なかったのである。
アンコールの最初の曲「My Way」にはびっくりさせられた。最初、市川優季ひとりが出てきてこの歌を歌い始めた瞬間には「ネタかよ」と思ったことも確かだが、英語曲でしかもスタンダードと言ってもいいこの曲をシド・ビシャス*2では今回と同じような「過去」と「未来」というコンセプトがあり、演出面でも大きな差別化がなされていたが、今回の『Wings and Winds』ではセットリストや演出上の大きな仕掛けはなかった。それでも結果的にかなり大きな印象の違いが生じることになったのは上記の映像でも取り上げられた「メタモルフォーズ」での観客の巻き込み方に現れた大きな違いである。もともと「メタモルフォーズ」はEDM曲でもあり、コロナ禍後に発表されてコールがいっさいできない状況でファンも曲に合わせクラッピングをしながら、メンバーのダンス、歌唱の完成度の高さを堪能するという楽しみ方をしていたわけだが、第二部では最初いつもどおりクラッピングをしていたファンに対して、間奏部分で「跳べ―」の煽りがあって、片手を突き上げながら観客全員がひたすらジャンプするという「ジャンプ曲」に見事なまでに生まれ変わったのだ。これはコールができない現状のなかで会場の盛り上がりのボルテージを最大まで押し上げるベストの選択だったのではないかと思う。
 やはり映像で取り上げられている「Staring at You」の盛り上がりも素晴らしかった。第二部ではこれがアンコール後の本当の最後の曲だったこともあって、メンバーの振付に合わせて観客も三本の指を上げて、やはりジャンプした後、3Bを連想させる三本指から四人で星(スター)を作り、観客も前に三本指を掲げて一緒に星を完成させた。一部の感想でも書いたがこの瞬間私たちもアメフラっシの新たなるアンセム*3の誕生を目撃したのである。
 アメフラっシはこの日は大きな発表がいっさいなく、ももクロでそういうものに慣らされた私には物足りなさもあったのだが、実力が高いだけに他流試合も今までのようなアイドルフェスだけではなく、バンド系のアーティストとの対バンをしてもらいたい。ももクロ神聖かまってちゃん氣志團との対バンライブで爪痕を残したようなインパクトが必ず残せるはず。もうひとつは現状では動員的にもバンドを背負ってのライブは困難だが、バンドとの対バンなら相手の演奏で歌えるし、楽器ができるメンバーもいるので有意義かつ魅力的なコラボができるはずだ。

第1部 Wings
SE. Hymn for Runners
01. STATEMENT
02. Rain Makers!!
03. BAD GIRL
04. MICHI
05. ミクロコスモス・マクロコスモス
06. 月並みファンタジー
07. Dark Face
08. メタモルフォーズ
09. フロムレター
10. Over the rainbow
11. 雑踏の中で
12. グロウアップ・マイ・ハート
13. 轟音
14. 勇気のシルエット
15. Staring at You
<アンコール>
16. My Way
17. バカップルになりたい!
18. 明後日の方向へ走れ

第2部 Winds
SE. Hymn for Runners
01. グロウアップ・マイ・ハート
02. MICHI
03. メタモルフォーズ
04. 轟音
05. ミクロコスモス・マクロコスモス
06. 月並みファンタジー
07. Dark Face
08. STATEMENT
09. フロムレター
10. Over the rainbow
11. 雑踏の中で
12. Rain Makers!!
13. BAD GIRL
14. ハイ・カラー・ラッシュ
15. 明後日の方向へ走れ
<アンコール>
16. My Way
17. バカップルになりたい!
18. Staring at You

Amefurasshi 2.28 Zepp Haneda『Wings and Winds

<1部>『Wings』
<2部>『Winds

2021年3月21日(日)<振替公演>
Zepp Haneda(TOKYO)

<1部>open 13:00 / start 14:00
<2部>open 17:00 / start 18:00
終演後、メンバー見送りあり。

*1:川上アキラ直系であった育成グループ「3Bjunior」の解散後、3Bのセンターだった愛来とそこから選ばれた俊英で結成されたグループという風に私は考えている。

*2:))がカバーしたのと同じようなアレンジで歌い切ったのは歌唱力に自信を持つこのグループだからこそできたことだろう。 二部制のライブといえば昨年11月渋谷で開催された「ON AIR」((simokitazawa.hatenablog.com

*3:ももクロならば「灰とダイヤモンド」や最近の「クローバーとダイヤモンド」に近いかもしれない。