下北沢通信

中西理の下北沢通信

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アメフラっシ大感謝祭2020@恵比寿ザ・ガーデンルーム

アメフラっシ大感謝祭2020@恵比寿ザ・ガーデンルーム

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【アメフラっシ】大感謝祭2020 第三部「がっつりライブ」ライブ部分抜粋(新曲以外)@20201229

現在私がもっとも注目している女性ボーカル&ダンスグループがアメフラっシである。ということがSpotifyの私個人の2020年の視聴アクセスランキングから分かった。私自身はあくまでももいろクローバーZのファンであり、他のグループはあくまでそれとの関係から聞いていたという認識だったのだが、こういう数字的な結果から見ると認識を改めざるをえないかもしれない*1
そういうわけで、コロナ感染者が急増している現状で、(ニコニコ生放送での配信もあるようなので)ずいぶん迷ったのだけれど、今年最後のライブに出かけてみることを決めた。結論からまずいうと今回のライブは本当に素晴らしくて、会場でそれを体験できたのは至福の経験だったが、ニコニコ生放送はしばらくアーカイブを残している*2ようなので、妹グループをあまり知らないというももクロファンもぜひ見てほしいと思う。イメージが一変するはずだ。
「新曲試演会」が第1部。冒頭で「 BAD GIRL」を初披露。少し洋楽っぽいというか、K-POPに寄せたような香りのする楽曲でパフォーマンスを含めてスタイリッシュそのもの。
こういう楽曲をこともなげにこなしてしまえるのが、アメフラっシの強みであり、ネット上では「最近アメフラっシってこんな風なの?私はどうも」との声もあったようだが、第三部のライブを見てもらえばもっとはっきり分かるように楽曲内容の広がりにおいて新たな武器をまたひとつ手に入れたということじゃないかと思う。
 第一部ではゲストで「明後日の方向へ走れ」「雑踏の中で」「STATEMENT」の作曲者である藤田卓也氏が登場。彼のピアノ独奏でのアコースティックバージョンのパフォーマンスが披露されたが、通常のアレンジとはまったく異なる趣きで、こうしたことをこなすには相当以上の歌唱力が必要だが、このグループにはそれがあるということをはっきり見せつけた。改めて感じたのだが、小島はなの歌が素晴らしい。アメフラっシを引っ張ってきた愛来鈴木萌花の歌のうまさはもちろん健在だが、小島はなのこの日の歌は年長組2人に何のひけもとらないと感じさせるもので、安定度ではむしろ上回っているのではないかとも感じた。市川優月の一層の進歩も併せて、4人のアンサンブルのバランスはより高い次元に進化したことを感じた。バラード調でピアノだけで歌い上げた「STATEMENT」はももクロの「灰とダイヤモンド」を思い起こさせるようなところもあった。
 続けてもうひとつの新曲「starring at you」も披露された。これはまだ楽曲アレンジなどはこれから行うという段階で歌割りもユニゾンが多く、仕上がった時にどんな風になるかは不明なところもあるが、こちらもキラーチューンになりそうな予感のする楽曲だった。
アメフラっシ感謝祭第2部はバラエティのノリに油断していると突然のあーりんが降臨。そして、最後は4人で「勇気のシルエット」。恵比寿ガーデンホールは3Bjuniorが最後にこの歌を歌った会場であり、アメフラっシが生まれた場所でもあった。
とはいえ、この日の白眉というか、圧巻だったのが第三部の『がっつりライブ2020』である。ももクロに例えて言えば会場規模は異なるが、最初の横浜アリーナ2日目といったところだろうか。映画館でおなじみの「20th Century Fox Fanfare」をOverture代わりに登場した後はMCを一切挟まず13曲をノンストップでパフォーマンスしてみせた。私はアメフラっシをアイドル界屈指の戦闘集団だと思っているのだが、集中した時に見せる気迫は鬼気迫るものがある。この日のパフォーマンスを見る限り、アメフラっシにはライブを俯瞰してみるような視点はまだ乏しく、ももクロやたこ虹のような緩急はないけれど、一発勝負短期決戦ならスタプラ最強の位置にいるのではないかと感じた。今年は対バンも難しく、フェスもほとんどがオンラインフェスであったが、来年以降コロナ感染の状況が改善し、外に撃って出ることが可能になったら、他流試合で相手ファンを黙らせるだけの実力を身に着けたのではないかと思う。
 この日感心させられたのは「メタモルフォーズ」「MICHI」や新曲など最近の楽曲のよさはもちろんなのだが、歌やダンスの進化によって過去曲が確実にアップデートされていることだ。どの曲も素晴らしかったが「Dark Face」「BAD GIRL」「STATEMENT」「グロウアップ・マイ・ハート」の終盤4曲の怒涛の畳み掛けは圧倒的な勢いを感じさせた。
 

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[1部]『新曲試演会』

M1 BAD GIRL(新曲)
M2 MICHI
MC 自己紹介

シークレットゲスト
藤田卓也さん ピアノ伴奏
M3 明後日の方向へ走れ
M4 雑踏の中で
M5 STATEMENT
MC
M6 starring at you(新曲)

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[2部]『第1回日本アメデミー賞』
(ゲストMC 山本昇)

M1 Don't Blink(B.O.L.T)
M2 勇気のシルエット(アメフラっシ)

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[3部]『がっつりライブ2020』

SE 20th Century Fox Fanfare
M1 Rain Makers!!
M2 メタモルフォーズ
M3 MICHI
M4 フロムレター
M5 ハイ・カラー・ラッシュ
M6 轟音
M7 Over the rainbow
M8 雑踏の中で
M9 ミクロコスモス・マクロコスモス
M10 Dark Face
M11 BAD GIRL
M12 STATEMENT
M13 グロウアップ・マイ・ハート

[1部]『新曲試演会』
[2部]『第1回日本アメデミー賞』 (ゲストMC 山本昇)
[3部]『がっつりライブ2020』

日時:2020年12月29日(火)
場所:恵比寿ザ・ガーデンルーム
[1部] OPEN 12:00/START 12:30
[2部] OPEN 15:30/START 16:00
[3部] OPEN 19:30/START 20:00
特典会(3部共通):17:40~19:10

simokitazawa.hatenablog.com

*1:ちなみにYoutubemusicの同様のランキングでは1位はたこやきレインボーであった。

*2:live2.nicovideo.jp