下北沢通信

中西理の下北沢通信

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アイドル?アイドルじゃない? KENTARO‼︎がプロデュースしたボーカルユニット「アンバーのせいにして」 1stシングル「生まれ変わりヒーロー」配信

KENTARO‼︎がプロデュースしたボーカルユニット「アンバーのせいにして」 1stシングル「生まれ変わりヒーロー」配信

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www.youtube.com

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KENTARO‼︎は日本のコンテンポラリーダンス分野を代表する振付家・ダンサー。自らのカンパニーである「東京ELECTROCK STAIRS」を率いてコンスタントに公演を行ってきたが最近はメンバーであるダンサーが相次ぎ横浜ダンスコレクションで審査員賞を受賞、それぞれが自らの集団を率いるカンパニーでの公演を行うことなどが増えてきたせいもあって、第一線での活動からは一歩退いた印象があった。
その間何をしていたのかというのが特にコロナ禍においては公演自体あまりないうえに会場で本人とまとまった話をするのが困難になっていたためによく分からなかったのだが、ダンスにおける若い教え子にプロデュースユニット「アンバーのせいにして」を結成させ、楽曲もプロデュースし、Spotifyを始めとするサブスクで配信デビューさせていたことを知って驚いた。
2本アップされているMV映像のうち2本目の「聖なる逆襲」は高橋萌登率いるMWMWとの合同ダンス作品にもなっており、こちらもKENTARO‼︎が振付を担当。この映像ではアンバーのせいにしての二人もけっこうバリバリに踊っており、紹介などではボーカルユニットという風にはなっているが、実際の生でのライブパフォーマンスはもしあればダンスボーカルユニット、あるいはアイドルのようなものになっているのではないだろうか。アイドル?アイドルじゃない?と見出しに書きたくなったのはそのあたりのところで、実は私の場合、アイドル的要素の強いダンスカンパニーとダンスに表現としての重きを置いているアイドルとはそれほど評価の基準が変わらなかったりする。そういう意味ではアイドルファンがこういうタイプの表現をどう考えるかには興味がある。音楽性も面白いので、楽曲派と言われているようなアイドルファンの一部ははまってもおかしくないと思う。
ちなみにアンバーのせいにしてのSaaya Pajamandom(栗田紗采)は先日開催されたダンスフェス「君が忘れたダンスフェス」*1ではW/unionというプロデュースユニットの作品では女性4人が出演する作品の振り付けも担当、こちらの方でもユニークな才能を見せてくれた。ダンス作品とは書いたが大きな1枚布が見立てられた奇妙なキャラクターの怪物も登場するポップかつコミカルな味わいも持つ作品で、ちょうど4人のキャラクターがぴたりと合うことからショー仕立てのライブが将来あれば寸劇代わりにアメフラっシにも演じてみてほしいと思われたほどだ。KENTARO!!も大学などで若い女性ダンサーに教える機会が多いだけに一度スタプラの若手グループでどこかワークショップとかをしてもらうところが出てきたら面白いのだが*2

Profile
アンバーのせいにして / blame Amber 
Saaya Pajamandom / さあやぱじゃまんだむ
Cosmic Yoiyoi / こずみっくよいよい
Cosmic Yoiyoi (17才)とSaaya Pajamandom (22才)による日常蜃気楼ボーカルユニット。
ダンサー・振付家・音楽家 KENTARO‼︎と通じて出会い、結成。
Saaya Pajamandomは大学でダンスを専攻し、明るさと儚さを併せ持つ素朴なパフォーマーで自らアートワークやイラストを手掛ける。Cosmic Yoiyoiは特徴的な歌声を持ち、小柄ながらも不思議な魅力を持っている。これからの成長をほんのり見守りたくなる2人。

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:表現の幅を広げるためにやってほしいのは本当はアメフラっシなのだが、楽曲提供まで考えると方向性が違いすぎる気がする。