下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ももクロの「家にいろTV」第1夜 ももいろクリスマス2019 ~冬空のミラーボール~@さいたまスーパーアリーナ(Youtube)

ももクロの「家にいろTV」第1夜 ももいろクリスマス2019 ~冬空のミラーボール~@さいたまスーパーアリーナYoutube

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「家にいるTV」でひさしぶりに「ももいろクリスマス2019」を鑑賞。ももクロのライブの凄さをひさしぶりに存分に思い起こさせる配信だった。
先日バレンタインライブ2日目で本当にひさびさにももクロのライブに行くことができたのだが、残念ながら生演奏のバンドがついてのライブではなく、バンドを背負った時のももクロの無敵感を最初の「オレンジノート」「ロードショー」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」と畳み掛ける展開を見るだけで堪能した。
ライブ冒頭に登場するボイスパーカッションのグループ(ヒューマンビートボックスチャンピオンズ)がカッコイイ。これは常時グループとして活動している人たちではなくて、ヒューマンビートボックスの日本チャンピオンら日本を代表するボイパの使い手がこのライブのために集合、スペシャルな編成で結成したアベンジャーズのようなチームなのだ。彼らにとっても埼玉スーパーアリーナのような大規模な会場でのパフォーマンスは初めてで、忘れがたい印象を残したようだ。ももクロのライブにはいろんなジャンルの第一線のアーティストが参加。最前線のエンタメとしてウィンウィンの形を生み出すということがあって、そこが素晴らしいのだが、ボイパのみの伴奏に合わせてのア・カペラでのももクロのパフォーマンスも行われた。
ももいろクローバーZはアイドルグループとしてSMAP、嵐のような息の長いグループを目指すと同時にザ・ドリフターズを念頭に昭和の芸能の復活も視野にいれてきた。これは横浜アリーナで開催された「ももクロ春の一大事2012~横浜アリーナ まさかの2DAYS」の1日目以来、プロデューサー役の川上アキラとライブ演出の佐々木敦規が首尾一貫して追求してきたことだったが、ももクロメンバーのスキルが上がってきたこの年のももクリはダウンタウンももクロバンドに加えて、ビッグバンド編成のジャズバンドも入れて、楽曲はももクロのオリジナル曲を使用しながらも、ショー仕立てのライブとなった。さらにそこでは現代のヒューマンビートボクサーとスイングジャズのオーケストラが新旧の共演。唯一無二のエンターテインメントの世界をももクロが展開していくのだ。

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 ももクロライブの面白さのひとつはショーとしての参照項の多さだと個人的には思っている。もちろん、モノノフにもいろんな人たちが混じっているからアイドルのライブにそんなものはいらないよと思っている人が多いことも知ってはいるが、例えばこの年のももクリはクレイジーキャッツなどに代表される1960年代の音楽バラエティーショーがモデルとなって、別にそんなことは知らなくても音楽ライブとして自由に楽しめはするのだけで知らないと「なんでそんなことをするのか」という謎の演出が数多く含まれていることも確かなのだ。 
 1960年代の音楽バラエティーショーがどんなものであったかといえば上記の映像の「シャボン玉ホリデー」とクレージー・キャッツを見てみてほしい。クレイジー・キャッツといえばコメディアンではあるが、もともとはミュージシャンであり、バンドでもあって高い演奏力もあったことは上記の映像でもうかがい知ることができる。共演者としてザ・ピーナッツが出演して、生演奏で歌っているが、当時の音楽バラエティー番組の質の高さをうかがい知ることができよう。
 今回ゲストに中山秀征を迎えて、ショーの狂言回しのような役割を演じてもらっているのも、中山がハナ肇とクレージーキャッツザ・ピーナッツザ・ドリフターズなどが所属した渡辺プロダクションナベプロ)の後継事務所であるワタナベエンターテインメント所属で、こうした人たちを継ぐ系譜にあるということから白羽の矢を立てたということはあるのではないか。ハナ肇とクレージーキャッツにはザ・ピーナッツザ・ドリフターズにはキャンディーズが共演し一緒に番組を盛り上げたが、ももクロも実は目標とするグループとしてアイドルグループであるSMAPや嵐のみでなく、ザ・ドリフターズを目標のひとつに掲げた*1という意味で、エンタメ界の王者を目指すという野望を秘めていることが分かるのだ。

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ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス 2019 ~冬空のミラーボール~」2019年12月25日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01. オレンジノート(X'mas ver.)
02. ロードショー
03. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
04. 泣いちゃいそう冬
05. GOUNN
06. カントリーローズ-時の旅人-
07. MORE WE DO!
08. デモンストレーション
09. Sweet Wanderer
10. 空のカーテン
11. The Diamond Four
12. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
13. stay gold
14. サンタさん -ZZ ver.-
15. HOLIDAY
16. SECRET LOVE STORY
17. 走れ! -ZZ ver.-
18. 白い風
19. 僕等のセンチュリー
<アンコール>
20. JUMP!!!!!
21. 今宵、ライブの下で
22. The Show

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*1:キャンディーズではなくザ・ドリフターズなんだということが重要。