下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

しげやん50周年❤︎大感謝前夜祭「よアケろヨ」(北村成美振付・出演)@UrBANGUILD Kyoto(1月29日まで公開)

しげやん50周年❤︎大感謝前夜祭「よアケろヨ」(北村成美振付・出演)@UrBANGUILD Kyoto(1月29日まで公開)

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映像配信ということではあったが、北村成美(しげやん)の作品をひさびさに見た。京都に石井潤バレエというバレエカンパニーがあってここから二人の日本を代表するコンテンポラリーダンサーが生まれた。ひとりが寺田みさこ、そしてもうひとりがこの北村成美である。二人は互いにライバルとして関西のコンテンポラリーダンスをけん引してきたが、ダンスに対して内向的にどこまでも突き詰めていくタイプの寺田に対して、バレエ出身で英ラバンスクールに留学したというアカデミックな経歴ながら、自らをなにわのコリ小倉ファーしげやんと自称し、関西人特有の明るさを体現するようなところが北村成美の持ち味*1であった。
そういうことからすると今回の「よアケろヨ」という作品は北村の作品としては異色な作品のように思えた。上演時間は46分強でありながら、その間劇伴音楽はいっさい使われず、しかも前半は特に暗闇の中でぼんやりとしか姿は見えず、黒いフェイスマスクのようなものを被り、頭にはかつらも着けているためほとんど顔も見えない。それどころか全身の姿も朧げにしか見えず、防水の合羽のような生地の上着を着ていることもあり、ガサガサする音と息遣いだけが薄暗い闇のなかから聞こえる。正直言って生で見ればまた少し違うのかもかもしれないが、映像で観劇するにはけっこうしんどい作りであった。
なぜこんな作品をとの疑問が湧いたが、コロナ禍の状況での自らの心象風景を表現したということでこういう作品になったのかもしれない。いくら無音で始まっても途中で音楽が入って激しく踊るんだろうと予測していたが、それもはぐらかされて、最後まで静かに終わったのは北村作品としてはやはり異色だ。黒沢美香を信奉して作品に参加していた時期もあったので、そういうこともあっての作風の変化もあるのかもしれないとも少し思ったが、激しく踊るというほどではないが最後の方では上着も脱ぎ捨てて、年輪をへてもダンサーとしての身体はまだまだ健在だというのも見て取ることができて嬉しかった。

2021年1月14日(木) 19:00開演
明けない夜はない
けれど待っていても明けない
ならばあけるまでやけるまで
自由に息を吸って吐きたいだけ

[2020年度新作ソロダンス作品]

振付・出演/北村成美
照明/ryotaro
映像撮影/奥田ケン
写真撮影/草本利枝



2020年1月15日(水)
インドネシアより帰国。新型コロナウイルスのニュースを初めて知る。

2月29日(土)
前夜に発表された全国一斉休校により上半期の全ての仕事が延期・中止となる。 自宅より連日ダンス動画配信「しげやんと踊ろう!」を開始。

6月7日(日)
100日間連続配信を達成。対面でのワークショップを再開するも、自粛・自宅稽古を継続。

7月20日(月)
自宅外での稽古を再開。自粛期間中の日々のダンスから新作ソロを構想する。

10月21日(水) 初演
伊丹アイホール主催「味わう舞台」@カフェダイニング・メロウ

12月14日(月)~20日(日) 改訂再演
ベップ・アート・マンス2020参加企画「しげやんの Go To BEPPU !!」@草本ビルlabo、竹瓦小路、バサラハウス


困難はいつも新しい発想とエネルギーをもたらしてくれます。 出来ないことがあることは踊り続ける幸福を与えてくれます。 これまで育てて下さった全ての皆様に心より感謝いたします。 新しい朝に向かって、これからも踊り続けて参ります。 このたびはお立ち会い下さいまして、誠にありがとうございます。

北村成美