「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く(2)
「ももクロを聴け!ver.3」*1を出版したばかりの堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴くインタビュー企画の2回目。
(ZOOMにて収録)
中西理(以下中西) アメフラの楽曲というのはこの曲(「ARTFICIAL GIRL」)だけではなくレトロな感じはあるんですかね。
堀埜 そう、ちょっとレトロな感じはあります。それはね、あえて入れてるんやと思います。使っているシンセの音とか、そういうので遊び心でちょっとレトロ感を出している。これも割とアルバム全体の要素であって、実はこれ作っている作家陣というのが一番大きくて、ももクロもやっているDirty Orange がいたり、Mitsu.Jとか、このあたりの作家は皆Digzという会社*2の所属。割とエンターテイメントを世界に発信するというようなポリシーを挙げてやっている。だから、韓国の音楽事務所とかと極めて近いスタンスで音作りをやっているところがあります。「ARTFICIAL GIRL」の作者は HIROという人なんだけれど、彼なんかはいろいろ幅広くやってますけれど代表的なものというならば三代目 J Soul Brothersや少し前の少女時代にも楽曲提供したことがある人。少女時代にいみじくも「BAD GIRL」という曲があるんですが、それを作った人たちに作ってもらっている。だから、最初にAMEFURASSHIが「BAD GIRL」をやると聞いた時に少女時代のカバーをやるのかなと思ったぐらいなんです。全然違う楽曲だったのですが。少女時代の中でも「BAD GIRL」は割とガールクラッシュ路線に振った楽曲で、そういうK-POPの曲も実際に作っている作家陣がアルバムの主軸にしっかりいると言うあたりが他のスタダのグループにはないところです。
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スタダも割と厳しいコンペがいろいろあるみたいなんですけれど、今回のこのアメフラのアルバムに関して言えば、コンペではなしに指名で曲を作ってもらって、それを上げているような感じです。検証はしていないので実際にどうかははっきりとはいえないのですが、たぶん入っている作家とか上がってきている曲の感じからいうとそこのテイストの部分というのは割と一貫しているので、バラバラにコンペをしてかき集めたというのではないというのはアルバムを聴いてて思います。
中西 中身のことは外に公開していないから分からないのですが、明らかに外に出ているのは佐藤守道さんが音楽プロデューサーだろうということ。そして発注をいまおっしゃっていたようなグループにしている。そして、ちょっと分からないなと思うのは何かもうひとりレコード会社的な人が絡んでいそうな気がする。僕は最初は黒子としてキングレコードの人が加わっているのではないかと考えていたのだけれど、その後の動向を見てみるとどうもそうでもなさそうですね。
堀埜 そうですね。
中西 いま契約している会社(レーベル: rockfield)は契約している他のアーティストの顔ぶれなどを見る限り、そこまでのプロディース能力はなさそう。コロンビアが絡んでいるのではないかとも思うのですが、よく分かりません。
堀埜 これはクレジットを見ていてもしっかりと出ているのは先ほど言ったDigzの存在。DigzのHIROが大きなところに関わって、ここの中ではベテランですからそのHIROさんがほかのDigzのアーティストに書いてみろと書かせたものの中からおいしいところをピックアップして、アルバムの形にしたのではないかと思います。1曲だけ8曲目に入っている「MICHI」ありますよね。これだけラインがちょっと違うんです。
中西 「MICHI」はももクロにも書いているCHI-MEYですよね。
堀埜 ももクロ作家のプールにあるCHI-MEY。「Wee-Tee-Wee-Tee」を書いている人です。あと公式版には入っていませんが実は私が大好きな山形(高城れに、佐々木彩夏によるユニット)の曲「私のアメリカンチェリー」も書いている。だから、ちょっとこの曲だけが全体の流れの中で見た時に特に大きな違和感はないんですけれども作家のラインとしては違うところから来ているというのはあります。
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「MICHI」はすごく好きな曲でユーモラスなんだけれど実は聴かせるところはがっつりと聴かせる。メロディーのインパクトというのがこの曲はけっこうあるので、ちょっとサビのところのメロディーとかが童謡みたいだったりもする。
中西 そこまで尖ってない感じがするけれど、そのせいかあるいはだからこそなのかは分からないのですが、人気があるんですよね。この曲は。
堀埜 人気あると思いますよ。ライブでも盛り上がるし、振付もカワイイじゃないですか。「あんたがたどこさ」とかそういう感じですよね。「ちゃらちゃ ちゃらちゃ ちゃらちゃちゃちゃ」というメロディーラインの感じもすごくそういうかわいらしさとか親しみやすさというのがバチったと出た曲でライブにもフィットしやすい。実際にもライブでおいしいところでこの曲を実際にやっていますからね。5曲程度でセットを組む時にはまずはずさない。
堀埜 逆にこのアルバムを象徴する曲としてはほぼ表題曲ともいえる「Drop Drop」が挙げられると思います。この「Drop Drop」から本格的に「さあ行くよ」みたいな形になっている。
中西 「Drop Drop」というのはジャンルとしては何だと言ったらいいですかね。
堀埜 これが一番典型的なガールクラッシュの路線で、BLACKPINKの曲に極めて似たような曲がある(堀埜氏が指摘したのがこの曲かどうかは分からないが「Kill This Love」はライブで何回かダンスカバーしているので、運営が意識しているのは間違いないだろう)のですが、はっきりとそこを目指した感じの曲だと思います。象徴的な感じはあります。
【「Drop」収録曲】
■CD ※Type-A,B,C共通
1. ARTIFICIAL GIRL
Lyrics and Music : HIRO
2. DROP DROP
Lyrics : HIRO
Music : KORANG-E / CHANCE
Arranged By CHANCE / KORANG-E
3. BAD GIRL
Lyrics : Chica for Digz, Inc. Group
Music : KORANG-E
4. Lucky Number
Lyrics : Chica for Digz, Inc. Group
Music : KORANG-E / CHANCE / ODD-CAT
Arranged By KORANG-E / CHANCE / ODD-CAT
5. Blue
Lyrics : Chica for Digz, Inc. Group
Music : ODD-CAT / CHANCE / KORANG-E
Arranged by CHANCE / KORANG-E
6. Drama
Lyrics : SHOW
Music : KORANG-E
7. SENSITIVE
Lyrics : Chica for Digz, Inc. Group / ODD-CAT / KORANG-E
Music : KORANG-E / Damon Jo / ODD-CAT
Arranged By KORANG-E / Damon Jo / ODD-CAT
8. MICHI
Lyrics & Music : CHI-MEY
9. DISCO-TRAIN
Lyrics : SHOW
Music : Dirty Orange / Chica for Digz, Inc. Group
10. UNDER THE RAIN
Lyrics : HIRO
Music : Mitsu.J
11. MOI
Lyrics & Music : HIRO