下北沢通信

中西理の下北沢通信

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【連載3回目】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く(3)

ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く(3)


「『ももクロを聴け!ver.3』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴いてみることにした」*1の第二弾。今回は『Coffee』について聴いてみることにしました。収録されたリード曲「Blow Your Mind」がこれまでの最速で25万再生を達成するなど注目のミニアルバムだが、前回のアルバム『Drop』に続き、現在のAMEFURASSHIの音楽性や戦略がますますはっきりしてきたようなところがある。
(ZOOMにて5月24日収録)

外市場狙い 今後は英語曲も

堀埜浩二(以下堀埜) アメフラにとってMOMONADYというのは同じ路線を歩む、実はMOMONADYが本当にやりたかった部分を彼女らにちょっと託すような雰囲気があって、そのルーツというのが実はK自体がそうなのだけれど、90年代のブラックミュージックの延長線上にあり、生楽器よりDTMに代わってきたというところがKPOPとの相性のよさだと思います。決定的な違いはやっぱり日本人がやっているので英語ではなく、日本語でやっていること。韓国人は語学についてのスキルが高くてネイティブぐらいの英語ができますが、アメフラは分からないけれどまだ英語ではなしに日本語で歌いながらちょっと言い回しがKPOPぽかったりするようなのが今ステイしている場所なのかなと思います。

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中西理(以下中西) 萌花はオリジナル曲ではないけれど弾き語りで英語の曲をずいぶん歌っているから、本格的に歌唱というか、プロの歌唱として出すためには発音とかをチェックする必要はあるけれど、本人にとってはそれほど抵抗はないと思う。愛来も洋楽曲は好きそう。ゆずも意外と器用かもしれない*2。はなちゃんがうまく対応できるかどうかが、大きな問題なんですけれど(笑)。

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堀埜 隣のももクロの話ではあるけれど5月のしおりん(玉井詩織)曲が英語。彼女も全然ネイティブではないけれど英語歌詞で歌うというのをフルでやったというのはひとつのチャレンジで、ももクロの曲でもカバー曲で英語でやったのはありますが、今回オリジナル曲をあえて作ってそれをやったというのもひとつの役割を担っている部分はあると思います。

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中西 玉井さんの場合はソロ曲だからマーケットまでは考えてないとは思いますが、ステップとしては考えていると思います。
彼女は英語をちょっと習っているようで、MCとかぐらいだったらできそうな感じもある。
堀埜 曲として聴いて違和感はそんなにないです。しばらく聴いて、「あ、英語や」と思ったぐらい。彼女は器用なので歌いこなすことがちゃんとできている。A&Rやボイストレーナーなどスタダ側の音楽スタッフはほとんど同じだから、これなんかはももクロがまず切り開いてアメフラも今後やっていくという可能性はある。
中西 とりあえず玉井さんは坂崎さん(ALFEEEの坂崎幸之助)やフォーク村のきくちPが英語の歌を歌わせたがっているのもあるかもしれません。
堀埜 我々は制作側ではないけれどアメフラの方向として英語に踏み込んでインターナショナルなところ、つまり欧米というか米国ですが、これを目指すという道筋もありえるというのがしおりんの曲を聴いていてイメージできて、今回の「Coffee」のアルバムの全体のトラックを見てみると完全に今の洋楽の先端に近いところの作り方にしっかりなっている。RBとかKPOPだけでなく中西さんも少し書いてはったけどジャズハウスとかジャッキンハウスとかの雰囲気も入ったりとか、いわゆるボリウッドの感じもある。そういうテイストも入れたりしている。そういうおいしいところのつまみぐいをするのはDigzグループが得意とするところなのでそういうやり方をしている。さらにここに来てAMEFURASSHIのポテンシャルは非常に高いのでいい感じの掘り起こしというのができている。前回の「DROP」よりも今回の「Coffee」の方を評価していて楽曲全体の流れとかクオリティーとかはゾーンが完全にはまったなと思いました。
 それと、このアルバムがありながら過去曲も当然ライブではやるのですが、いい形で楽曲のジャンルの広げ方とかが聴かせどころとかを作る環境ができており、こういう打ち込み系の音はももクロも最初は前山田健一の打ち込み曲から入って今はライブでバンドメンバーが入るのが売り物になっているけれどアメフラは生バンドでやる感じではあまりない。

生よりDJに可能性

中西 生バンドで将来会場が大きくなったらやるかもしれないけれど、その前に私はBananaLemonが面白いと思っているのだけど、DJみたいな人とか、そういうのができる人たちをサポートでうまいこと入れてやるのがいいのじゃないかと思っています。もちろん、BananaLemonはプロのダンス&ボーカルグループなのでそれをよしとするかどうかという問題は当然あるのですが、DJとバッキングコーラスに入ってもらうのはどうかとBananaLemonを見ながら思いました。
堀埜 バックコーラスはいらんけど少なくともDJが入ってライブで音を再現するだけでトラックをそのまま流すのとは違うライブ感というのが絶対出るはずなんです。それで私が思ったのはMOMONADYがDJだというのは凄く大きくて、変な話バックに入ってDJやるという話がもしあるとしたら……。
中西 ワンチャンス、梅雨祭でそれがあるんじゃないかとも思っているのですが。
堀埜 ももクロはもう夏のライブの時にDJを入れたパフォーマンスをやるということもやっています。それは実は生バンドにアレンジする手前でDJで再現するスタイルを昨年の夏にやったことがあるんですが、他にもラップ系のグループというのはDJ一人入っている。
中西 DJを入れてのライブというのはたこ虹(たこやきレインボー)がやろうとしていたのだけれど、始めた当時そういうAVEX的な音楽的志向が完全に従来のファンとの間に軋轢を呼んでしまって*3完全にはうまくフィットしないうちにコロナ禍になり、道の途中で解散に追い込まれてしまった。本当はもっとその辺のところを突き詰めていきたかったんだろうと思うんですが*4

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中西 今もAMEFURASSHIは2曲の曲間をつなげてしまって続けてやるという演出を時折やっている。でも、DJが入ったらそれこそ全曲をつなげてノンステップで歌い続けるという演出も可能かもしれない。それで観客の方が先に倒れて死んでしまうかもしれませんが(笑)。
堀埜 それはDJとの相性というのもあるでしょうね。どういうDJとやるかというのもある。
中西 DJ KOOさんの主催フェスで一緒にやりたいという話も仕掛けてはいるようですが、DJプレイを実際に見てないので分からないけれども世代の近いMOMONADYの方がいいかもしれない。
堀埜 それはどうでしょうか(笑)。アイドルではオケを鳴らして歌って踊るというのがライブの基本のスタイル。ももクロも最初はそうですけれどね。
中西 逆に言うとももクロが全曲に近い曲をバンドでやることになっていったのはバックバンドのスキルが高すぎて全部できちゃったからですよね。
堀埜 それもありますね。15周年のライブで「MYSTERION」を生バンドでやったじゃないですか。あれも実は大きな話であの曲ってトラックだけを聴いているとバンドでやるような曲じゃ全然ないです。
それをへいへい(宗本康兵)がアレンジしてやって、実はトラックも当然鳴らしてますよ。全部がバンドの生演奏ではない。でもちゃんとあの曲のベースラインというのに合わせてやまもとひかるちゃんがものすごい低音の部分をグオングオンというのを鳴らしているとか生バンドの可能性はあるんですよ。ただ、今のアメフラの音を聴いている限りでは僕自身はギター弾きなので生バンドでやったらどうなるかなというのは思うんですが、そうすると出てくる音の質感とかは根本的に変わってくるのでアメフラは生バンドにそんなに固執しなくてもいいのかもしれない。
中西 何曲かはできそうな曲もありますが、基本的にはそうでしょうね。フォーク村で生バンドでやったことはありますが……。
simokitazawa.hatenablog.com

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*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:英語曲「マイ・ウェイ(My Way)」を独唱で披露

*3:コールが入れにくくなるので、こういう勝手なアレンジはするなとの声があり、ファンの間の意見を二分した。映像は無観客収録のものだが私は今でもベストパフォーマンスのひとつと考えている。

*4:たこ虹の完全消滅が発表. 。しばらく、この映像を何度も何度も見返して泣き暮らしていたが、アイドルないと突然最後が来ることもあるということをたこ虹で知り、「二度とこんな思いをしたくない」とAMEFURASSHIを全力で応援したいと考えた。