下北沢通信

中西理の下北沢通信

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「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Coffee」について聴く前哨戦 AMEFURASSHIミニアルバム「Coffee」について考えてみる

ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Coffee」について聴く前哨戦AMEFURASSHIミニアルバム「Coffee」について考えてみる


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前回のアルバム「Drop」発売時に収録したももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く*1の続編「『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く」を5月24日夜(20時〜)にZOOMで収録予定なため、その前に前哨戦として「Coffee」収録曲について少しだけ下調べをして、私なりの考えをまとめてみることにした。

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 1曲目は「Fly Out」なのだが、どこまでもどこまでも空高く飛んでいくというようなイメージ。ここからのAMEFURASSHIの飛躍を雄大に歌い上げた楽曲でいまや新生AMEFURASSHIのアンセム曲といってもいい風格を感じる。Lyrics: sty / Music: Dirty Orange, styとメインの楽曲担当者はsty。実はstyは新アルバムではこの曲以外にも「Blow Your Mind」さらに「Love is love」とともにMVが製作されているメイン曲3曲を手掛けており、最近のももクロで例えればinvible mannersやC&Kのようなメイン作家の役割を担っている。

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 「Drop」の主要作家同様にDigz, Inc. Groupの所属だが、「R.Y.U.S.E.I.」(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)の作詞、作曲、編曲(作曲・編曲はMaozonと共作)を担当、この作品で『第56回日本レコード大賞』大賞を受賞している三代目 J Soul Brothers fromの代表曲だ。*2*3ダンスにランニングマンというステップを取り入れているのがあまりに有名だが、歌番組などで披露しているのはさすがに何度も見ているがMVをちゃんと見たことはなく、MVを見直してみたらこの曲のトラックは本当にカッコよかった。三代目 J Soul Brothersの初期楽曲を支えた人であり、AMEFURASSHIの路線から考えるとこの人をメイン作家に据えることができたのは「Coffee」にとって大きなことかもしれない。

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もうひとり目立つニューカマーがMOMONADYという人*4。この人もクレジットを確認してみると「Batabata Morning」「One More Time」「Magic of love」「Tongue Twister」と4曲に関わっているが、ネットで検索してみてもほとんど過去の実績などがヒットしない。新しい作家なのかもしれない。さらに深堀りしてみるとBananaLemonというのはSTYがプロデュースしたダンス&ボーカルグループ。そして、MOMONADYはそのグループでメインボーカルのNadiaのことであり、曲の提供のみにとどまらずボーカルエディションや共同振り付けの一部を担っている可能性もある。*5

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 「Batabata Morning」は配信された直後の情報でジャズハウスというジャンルと誰かから聞いた記憶があるが、少し調べてみたがよくわからない。この辺りは堀埜さんに詳しく聞いてみることにしよう。楽曲としては「Drop」収録の楽曲が「ガールクラッシュ」路線への傾斜から「とにかくカッコいい」というイメージの楽曲を並べてきていたのに対して、音楽ジャンルはともかく、これはデートの準備にいそしむ等身大の若い女性の心情を軽快に歌ったガールズポップ。冒頭の鈴木萌花の目覚まし時計の振り付けなどダンスにもコミカルな要素が多用されていて、どこまで戦略的に意識してなのかは不明だが、すでにスタプラアイドルによる「踊ってみた」動画が多数上がるなど、明らかにtiktok狙いうちにしたような仕様になっている。 
 次の「Blow Your Mind」はまたstyの手掛けた楽曲でこのアルバムのメイン曲。すでに台湾でロケしたMVが公開され、1週間以内に10万視聴を達成するなどブレイクの兆しを見せているがニュースサイトでは「ハウス・ビートとボーカルフライという歌唱法、世界的なトレンドであるディワリの曲想をいち早く取り入れた」などと紹介されている。楽曲制作陣の目のつけどころに感心させられたが、こういうことが事も無げにできるのもグループのスキルの高さがあるからこそであろう。
 「One More Time」「Magic of love」 はまだライブ未発表の楽曲だがいずれも詞をMOMONADYが担当。とはいえ海外アーティストやKーPOPではよくあるいわゆる共作(コライト)の形で作曲を行っているようだ。いずれもガールポップ的だが、アイドルソングとは一線を画したつくりになっている。
 私の耳には「One More Time」はシティーポップ風、「Magic of love」 は米国の少し昔のガールズコーラスグループの楽曲を連想させるようなところがあるが、このあたりも堀埜氏に聞くことにする。
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 先行配信していた「Love is love」はビヨンセを思わせるような90年代ソウルを意識した楽曲とすでに言われていたが、これもstyの楽曲。さまざまな作家陣が参加しているが、実はほとんどがDigzグループの作家たち。HIROら「Drop」を手掛けたクリエイターに加えて、今回の「Coffee」では最近ではBE:FIRSTの楽曲も手掛けるなど同事務所を代表する存在であるstyを加え、LDHや韓流など数多くのダンス&ボーカルグループの楽曲を手掛けるDigzが総がかりの態勢でAMEFURASSHIのプロデュースに参加してきているという風に言っても過言ではなく、いよいよこのジャンルの本丸で真っ向勝負ができる下地ができたといえそうだ。

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【収録曲】※豪華盤・通常盤共通
1. Fly Out (Lyrics: sty / Music: Dirty Orange, sty)
2. Batabata Morning (Lyrics: MOMONADY / Music: KORANG-E, ELIXIR)
3. Blow Your Mind (Lyrics & Music: sty)
4. One More Time (Lyrics: MOMONADY / Music: Neckwav, Mikax, jinheo, MOMONADY)
5. Magic of love (Lyrics: MOMONADY / Music: KORANG-E, ODD-CAT)
6. Love is love (Lyrics & Music: sty)
7. Tongue Twister (Lyrics: SHOW, MOMONADY / Music: Dirty Orange, SHOW)
8. グラデーション (Lyrics: SHOW / Music: SHOW)

Blu-ray収録曲】※豪華盤のみ
SE. BAD GIRL Maozon REMIX
1. Fly Out
2. DROP DROP
3. MICHI
4. グラデーション
5. Love is love
6. Drama
7. SENSITIVE
8. Lucky Number
9. メタモルフォーズ
10. DISCO-TRAIN
11. UNDER THE RAIN

参考映像:BananaLemon

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*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:表記は従来のSTYでなく、小文字のstyとなっているが、これに意味があるのかどうかは不明。

*3:最近の実績を調べてみるとBE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」が『第64回 日本レコード大賞』 優秀作品賞を受賞。この分野のバリバリ現役の第一人者のようだ。

*4:3人組の女性ダンス&ボーカルグループBananaLemon のメンバーらしい。 digzinc.com

*5:最近の活動歴は不明だが、Youtubeには映像も上がっており、「梅雨祭」にBananaLemonが突如登場して一緒に踊ったりする可能性もなくはないかもしれない。