【連載4回目】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI / New Album『Flora』 について聴く(4)
中西理 AMEFURASSHIの楽曲について『ももクロを聴け!』の著者である堀埜浩二さんに聴くという企画は3回目になりますが、新アルバム『Flora』 について聴いていきたいということで今回のインタビューを開催することにしました。
(3から続く)
中西 MOMONADYは今回メンバーらへのインタビューによるとレコーディングに際して、実際に歌唱指導とかもしているみたいですね。
堀埜 アルバムの配信に制作陣の名前が出ているのでそれを確認してみたのですが、アルバム全体は最近の傾向なんですがほとんどプログラムなんですね。ただ、生のドラムが1曲だけある。「Ready Now」ですか。ここではHIROさんが生のドラム(Drums : 神田リョウ)をつかっていてコーラス(Backing Vocals)にもメンバー以外の女性を使っている。
M3. Ready Now
Lyrics : HIRO
Music : HIROInstruments and Programming by HIRO
Produced by HIRO (Digz, Inc. Group)
Drums : 神田リョウ
Backing Vocals : 稲泉りん, 佐々木詩織, Kayo, KOKORISA, Mayowa, 土屋飛鳥
Backing Vocals Coordination:加納 迅 (Face Music)
Additional Vocal Directed by YUKI FUNAKOSHI (Digz, Inc. Group)
Recorded by Kanako Hayashi (canalabo) at DCH STUDIO, Prime Sound Studio Form
Recorded Assistant by Yuki Ishii, Ryosei Yasuda (Digz, Inc. Group), Ryota Yonetsu (prime sound studio form)
Mixed by Kanako Hayashi (canalabo) at DCH STUDIO
Production Management by Akira Sakemi (Digz, Inc. Group)
「イニミニマニモ」なんかは歌詞をMOMONADYが書いていて、音楽をTubarãoとWakerという人が書いているけど、これのボーカルディレクションはMOMONADYではなくてChicaがやっている。さらに5曲目の「HICCUP」もこちらはChicaが歌詞を書いてボーカルディレクションも担当している。一方、「Squall」はバックのボーカルとディレクションがMOMONADY。この女性の2人(ChicaとMOMONADY)がボーカルディレクションにかかわっているというのが、作り方としてはけっこう面白いなと見ています。録音の立ち上げというのは最近よく映像などでも目にすることがありますが、けっこうエネルギーがいる作業なので、しっかりそこまで時間を割いてやっているということがボーカル力の高まりみたいなことと直接関係があるような気がします。
中西 AMEFURASSHIのボーカルのひとつの特徴としてラップ部分を担当する市川優月はともかくとして、ほぼソロでももクロのようなユニゾンはほとんどない。それで3人のボーカルがそれぞれ音域が違う。だから、それが曲中に交互に出てくることである独特なリズムが生まれてくる。これはファンだからというのもあるかもしれませんが、1回聴けばだれがどこのパートを歌っているのかというのが(これはももクロも分かるけれど)アメフラの場合一目瞭然で分かるというのがあります。
堀埜 声の個性が皆ありますからね。でも曲によってここまで歌い方を変えるというのは珍しいことだと思います。先ほどのそれぞれの声のことについて言えばこの子はこんな声でこんな歌い方をするというのを固定した方がむしろ分かりやすい。ここまで曲によって歌い方を変えてきたり、曲そのものを表現するというやり方をやっているのはあまりスタダのなかにもないし、もちろん他のアイドルグループにもない。それはそれをやるのが本当に難しいからで、ここまでボーカルディレクションがしっかりついてやっていること。作品を極めるための作りこみというのが作家らがしっかりと踏み込んでやっていたのかがうかがえる。これはもし録音の時のメイキングとかがあればここはもっとこう歌ってほしいとかそういう細かい指示を受けながらブラッシュアップして仕上がりまで持って行っているという絵が浮かび上がってくると面白いと思います、