下北沢通信

中西理の下北沢通信

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下鴨車窓「透明な山羊」@こまばアゴラ劇場

下鴨車窓「透明な山羊」@こまばアゴラ劇場


前回作品*1を見たのが5年前ということになるようでコロナ禍も途中であったせいもあろうが、気づいたら随分時間がたっているという印象である。
下鴨車窓はどこか異世界的で寓話的な色彩が 強かった初期の作品の印象が強く、その後今回のような作風に変貌してきたのではないかと思うが、5年前に見た作品でもう現在と似た作風に変わりつつあり、今回もそれを踏襲した印象がある。
 周囲にほとんど家がない山の上に孤立した山小屋に住んでいた老作家が亡くなり、そこに4人の人物が集まってくる。作家と親しくしており、彼のいろんな用事に応じていた男、作家の息子、作家の遺品を整理して残されたはずの遺稿の収録されている録音テープを探す編集者の女性、やはりこの近くに住んでいて亡くなったという作家と親交があったという男の娘。彼らの関係性は最初はよく分からないのだが、物語の進行に伴って次第に明らかになっていく。

作・演出:田辺剛
京都を拠点に活動する下鴨車窓の五年ぶりとなる東京公演です。2021年夏に京都で初演、松山や津での公演を経て参ります。
物語の舞台は緑が深い場所にひっそりと建つ、主を亡くした山小屋。そこに集った者らが嵐に見舞われた一夜をともに過ごします。作家だった主が遺した「ことば」とは。過去も現在もわたしたちにまとわりつく、目に見えない「父的なもの」を描きます。


下鴨車窓は京都を拠点に2004年に設立、代表は劇作家、演出家の田辺剛です。公演活動は地元のみならず国内各地を巡演、2015年には初めて香港とマカオでの海外公演を果たしました。こまばアゴラ劇場では2017年『冬雷』以来5年ぶりの公演です。メンバーは岡田菜見、田辺剛、福井菜月。Twitterアカウントは@shimogamoshasow

出演
西村貴治、野村明里、佐々木峻一、岡田菜見、中出禎彦(声の出演)

スタッフ
舞台監督・照明:河口琢磨
舞台美術:川上明子
音響:森永恭代
イラスト:岡林真由子
当日運営:葛川友理