下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

盲目の曲亭馬琴とその口述筆記を務めた女性描く 演劇集団 円『ソハ、福ノ倚ルトコロ』@吉祥寺シアター

演劇集団 円『ソハ、福ノ倚ルトコロ』@吉祥寺シアター


 「南総里見八犬伝」の作者である曲亭馬琴とその息子の嫁で馬琴が両目の視力を失った後に「八犬伝」の口述筆記を行いその完成に尽力した路(みち)の評伝劇である。
 公式サイトにあるあらすじによると以下のようなものとなる。

天保11年。馬琴の代表作となり、執筆に27年の歳月をかけ読者が完結を待ち望む『南総里見八犬伝』は、いよいよ里見家対両管領連合軍の決戦に差し掛かっていた。
馬琴が滝沢家の未来を託し、医者となった長男宗伯が38歳の若さでこの世を去った。宗伯の妻、路は夫の遺言を守り、滝沢家のため、子どもたちのため懸命に尽くそうと決意する。
八犬伝』に取り掛かっていた馬琴は、目の不調にも構わず執筆に執念を燃やしていたが、遂に両目の視力を失ってしまう。板元の文渓堂丁子屋平兵衛は、何としても完結させるべく口述筆記の書き手を遣わすが、脱落者が相次ぐ。その時、白羽の矢が立った人物こそ長年滝沢家に仕えてきた嫁の路であった。
はじめは頑なにその任を断り続けてきたが、平兵衛は『八犬伝』がどのような物語で、どれほど面白いか、どれだけの人々がその続きを待ち望んでいるかを路に語り聞かせる。ついに路は説得され口述筆記を引き受けることになったが、それは馬琴にとっても路にとっても困難極まりない日々の幕開けであった。馬琴と路を中心に、馬琴の妻・百、娘たち、路の母とあまたの人々を巻き込んで、『八犬伝』はいよいよ完結へと昇りつめる。

 気難しくてわがままな気質。版元が送り込んできた口述筆致の専門家を次々と追い返してしまい、この遠大なる小説を完成するのはもはや不可能と関係者が皆考えていた苦境を救ったのが、早世した息子の嫁で、息子が亡くなった後も、滝沢家に残って、こちらも我儘な老いた義母の世話をしていた路だったというのが面白かった。
 演劇作品としては劇中劇として「八犬伝」の名場面が挿入され、口述筆記から馬琴の語り、劇中劇とつながっていく、スペクタクルな展開が単なる会話劇を超えて、舞台を楽しめるようにしていた。

天保十一年。曲亭馬琴の代表作となり、執筆に二十七年の歳月をかけた伝奇長編小説
南総里見八犬伝』は完結間近となっていた。
馬琴は、早くに長男を亡くすという不幸と目の不調を抱えながらも執念を燃やして執筆していたが、遂に両目の視力を失ってしまう。何としても完結させるべく、板元に遣わされた口述筆記の書き手達が脱落していく中、長男が他界後も滝沢家に尽くしていた嫁の路(みち)がその役目を担うことになった。
馬琴とお路を中心に、滝沢家や周りの人々を巻き込んで「八犬伝」はいよいよ完結へと向かう…

【注意事項】
※開場は、開演の30分前です。

〇出演者、スタッフは毎日検温、消毒等を行い健康観察と体調管理につとめます。
〇劇場スタッフはマスクを着用いたします。
〇劇場内の座席など、多くのお客様が触れる部分の消毒をいたします。
〇お客様がご来場の際は、マスクの着用、手指の消毒ならびに検温をお願い致します。
公演ホームページ http://www.en21.co.jp

出演 高林由紀子佐々木敏 / 福井裕子 / 佐々木睦 / 上杉陽一 / 石井英明 / 高橋理恵子 / 谷川清美 / 原田大輔 / 清田智彦 / 平田舞 / 山本琴美
スタッフ 作・演出: 内藤裕子 / 美術: 大島広子 / 照明: 木下尚己 / 音響: 穴沢淳 / 衣裳: 中村里香子