果てとチーク「はやくぜんぶおわってしまえ」(2回目)@アトリエ春風舎
女子高を舞台に描いているが、描かれているのは社会の縮図といってもいいのかもしれない。描かれているモチーフの中に性的マイノリティに対する差別の問題が含まれているから、どうしてもやはり同じ青年団演出部で正確な年齢は分からないが、広い意味で同様の主題を取り扱っていた宮崎玲奈の「ことばにない」と比べたくなってしまう。
両者は1時間と前半だけで4時間半という上演時間の違いだけでなく、どちらも現代口語演劇の様式を踏襲しているとはいえ、かなり大きな違いがある。
登場人物のほとんどが大人であり、それぞれに社会の中で生きて行っている「ことばにない」に対して、果てとチーク「はやくぜんぶおわってしまえ」は学校という閉じられた世界を描いている。一見そこで描かれていることはリアルに見える描写ではあるが、同性愛や性同一性障害、あるいはそれと並べて言及するにはいささか語弊があるとはいえ、ここには不作為に起こる差別の構造を女子高という一見同質性が強い世界を描くことで抉り出していくのだ。
作・演出:升味加耀
「生徒の性自認が揺らぐ」「外見で順位をつけてはいけない」
私立清正(せいせい)女子ミス・ミスターコンは、突然その中止を余儀なくされた。
結果発表直前の教師の指示に、未だ納得できない実行委員たちの議論が白熱する。
2012年の私たちと、透明で静かな地獄のお話。
■おしらせ①
本作は、性的マイノリティに対する差別表現及び、主に女性への性加害に関する言及が含まれます。
フラッシュバック等の不安がある方には、事前に該当シーンの台本データを送付いたします。
希望される方はページ下部にある専用アドレスまでお問い合せください。■おしらせ②
呼吸器・皮膚疾患・感覚過敏等でマスクのご着用が難しい方へ果てとチーク
青年団演出部所属・升味加耀が、2016年ベルリンにて旗揚げ。
深刻な社会問題を突飛な設定で戯画的に描き、理不尽な現状への憎悪と、未来へのささやかな希望を込めた作品作りを行っている。出演
井澤佳奈、川村瑞樹、Q本かよ、中島有紀乃、名古屋愛、升味加耀スタッフ
作・演出|升味 加耀
ドラマターグ|綾門 優季(青年団リンク キュイ)
舞台監督|大石 晟雄(劇団晴天/みさくぼ)
音響・照明|櫻内 憧海(お布団)
宣伝美術|間宮 きりん
宣伝イラスト|little red boy
制作|半澤 裕彦