下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ミュージカル「プレイハウス」(根本宗子作・演出、GANG PARADE出演)@東京芸術劇場プレイハウス

ミュージカル「プレイハウス」(作・演出根本宗子)@東京芸術劇場プレイハウス

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作・演出
根本宗子
音楽
GANG PARADE
出演
GANG PARADE
カミヤサキ/ヤママチミキ/ユメノユア/キャン・GP・マイカ/ユイ・ガ・ドクソン/ココ・パーティン・ココ/
テラシマユウカ/ハルナ・バッ・チーン/月ノウサギ/ナルハワールド)
磯村勇斗
栗原類 鳥越裕貴 富川一人 ブルー&スカイ 猫背椿
楽曲
Wake up Beat! ※書下ろし新曲 /
GANG PARADE / GANG 2 / LAST / Close your eyes / Happy Lucky KiraKira Lucky / sugar /
正しい答えが見つからなくて / RATESHOW / FOUL / Are you kidding?/Jealousy Marionnette /
上演時間
約2時間45分(休憩15分含む)予定
パルコ×根本宗子×GANG PARADEで贈る、
夏フェスを吹き飛ばす勢いのミュージカル!
月刊「根本宗子」の主宰であり、女優、脚本家、作詞家、演出家として広く活躍している根本宗子が、劇団旗揚げから10周年を迎え、遂にパルコとの初タッグで新作舞台を生みだします。彼女が今一番創作意欲を刺激されるという、異色アイドルグループGANG PARADE(通称:ギャンパレ)が舞台初出演、初主演いたします!

<公演特設ページはこちら!>

男性主演のカリスマホスト役にはミュージカル初出演、初主演となる磯村勇斗が決定!ミュージカル作品への参加は初となり、もちろんミュージカル主演も初。これまで見せたことのないカリスマホストを演じ、活躍の幅をさらに広げます。
さらに、昨今は舞台俳優としての活動で脚光を集め、白井晃演出の舞台『春のめざめ』の再演でもさらに評価を高めている栗原類2.5次元舞台で絶大な人気を集め、昨年末の紅白歌合戦にも出場を果たした鳥越裕貴、2011年からノゾエ征爾率いる“劇団はえぎわ”に座員として参加し、ますます活躍の幅を広げている富川一人、劇作家、放送作家、演出家、俳優と八面六臂で活躍するブルー&スカイ、大人計画に所属し、様々な舞台から、テレビや映画など映像作品でも引っ張りだことなっている女優、猫背椿といった、バラエティー豊かなそうそうたるメンバーが集結してくれました。

パルコ×根本宗子×ギャンパレ×磯村勇斗×個性&実力派キャストたちで贈る、夏フェスを吹き飛ばす勢いのミュージカル『プレイハウス』に、どうぞご期待ください!!


8月25日(日)より開幕する、ミュージカル「プレイハウス」劇中使用ミュージカルナンバー発表!

ギャンパレの既存楽曲に加えて、公演の為に、新曲「Wake up Beat!」が制作されました。
作詞は根本宗子、rap詞ヤママチミキ、作曲はギャンパレのサウンドプロデューサーでもある松隈ケンタとのタッグで、作品を最高に盛り上げる一曲です。
尚、新曲「Wake up Beat!」は、ギャンパレが11月13日(水)にリリースするメジャー1stアルバム「LOVE PARADE」へ収録されます。

 根本宗子の劇作品を初めて観劇。ミュージカルなので普段の作品とは感じは異なるのだろうと思うが今回はかなり破天荒なアイドルグループであるGANG PARADEに当てて書いた風な作品で、根本はプロデュース側の注文に合わせて巧みに舞台作りを手掛けたと好印象を持った。
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 GANG PARADEというアイドルグループについては前身であるP.O.P時代にはアイドルフェスで何度か見たことがあったけれど、BiSHと同じ事務所WACK所属のグループであるという程度の知識がしかなく、GANG PARADEとして見たのはこれが初めてだ。客席が後方だったので個々の顔を確認することは難しかったが、以前から知っていた短髪のカミヤサキやヒロイン役を演じたヤママチミキら何人かのメンバーはかなりの歌唱力があるということは分かった。WACKの所属グループであるからそれも当然といえなくもないが、「かわいい」だけではない奔放さを感じさせるようなイメージがグループにあり、この舞台で新宿歌舞伎町を舞台に全員が風俗嬢の役を演じたように、根本はそれにあて書きしたのではないかと思われた。
 そういう意味ではこういう設定はももクロなどスターダストプラネットの所属グループには難しいだろう*1なども思い、そういう意味での自由さをこの舞台からは感じたし、今回の舞台はこのグループの魅力を存分に引き出していたのではないかと思う。
 楽曲はこの舞台に合わせて作られた新曲「Wake up Beat!」はあるが、他の曲はギャンパレの既存曲をそのまま使用したと思われる。そういう意味ではももクロの「ドゥユ・ワナ・ダンス?」同様にジュースボックスミュージカルといえるのかもしれないが、もともとグループの楽曲を知らなかったので、歌割りなどを含めてどの程度いつも通りなのか、アレンジしていたのかはよく分からない。ただ、ミュージカルとしては普通にオリジナルミュージカルとして見た場合の違和感はなく、楽曲は物語の進行にうまく溶け込んでいた。
 とはいえ、ヒロイン役とその相手役はプラトニックな関係であるという普通に考えればかなり無理な設定になっている。他のメンバーの性的なシーンもリアルに表現することは避けていて、やはりアイドルに対するそれなりの配慮はあるように見えた。
 こんなことを書いたのは根本宗子がももクロファン(モノノフ)であり、本人もももクロと一緒に仕事をしたいという野望を明らかにしているため、これまでももクロが一緒に仕事をしてきた「おじさん」の劇作家・演出家ではない、もっと若い才能と一緒に仕事をしてほしいというモノノフの一部から彼女との仕事を望む声が上がっていたからだ。
 そして結論から言えばこの舞台を見ただけではももクロと一緒に映像はともかく舞台をやるべき作家なのかがまだよく分からなかった。というのはおそらくこの人はかなり器用なタイプの作家で今回の舞台については事務所側からの注文に応じてこうした世界観の作品を制作したのではないかということから、もしももクロと一緒に舞台をやるとすれば今回とはまるで違う雰囲気の舞台となるだろう(こういう役どころはももクロにはできないだろうし、根本宗子もももクロにあてがきをするはず)と想像される。それゆえ、ももクロと一緒にやるとして、その舞台がうまくいくかどうかは未知数というのが現時点での判断だ。

*1:それでも私立恵比寿中学などのメンバーなどは若手男優とのラブシーンなども普通にこなしているが、ももクロは明らかにドラマ制作側にそういうものに対する忖度があると思われる。