仕事が早めに終わったので、迷いにまよった揚げ句、演劇集団円「遠い日々の人」を観劇。平田オリザ作演出による舞台だが、これが予想以上の好舞台であった。最近、松田正隆や岩松了をはじめとして「関係性の演劇」と私がよんでいる群像会話劇を新劇団が上演する機会が増えているが、これはそういう芝居の中でも最上の部類に入る出来ではないかと思う。今週末までやっているはずなので、まだ見てない人がいれば必見である。
青年団で上演される平田の芝居と比べると方法論的な実験性においてはゆずる部分はあるのだが、その分、古典的な風格を感じさせる舞台となっている。平田本人が劇団に乗り込んで行って、作演出のみならずキャストの選定から全面的に手掛けているだけあって、演じている俳優たちも演技においてかなり流暢に平田メソッドを使いこなしている。このあたりに新劇団の小劇場系の劇団にはない俳優集団としての層の厚さというものを感じさせられた。演劇集団円は最近でも、渡辺えりこや岩松了に書き下ろし作品を依頼し上演するなど小劇場系の外部の劇作家の作品の上演には積極的ではあったが、今回の場合、平田が演出まで担当しているのが特徴。おそらく、この作品を他の人が演出していたら、ここまでの成功はなかったのではないかと思われるので、平田の演出を劇団公演として受け入れたという劇団としての勇気に敬意を払いたい。