下北沢通信

中西理の下北沢通信

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映画「レント」

映画「レント」*1を観る。
 ブロードウエーミュージカル「RENT」の完全映画化。この作品は実は評判の高さは聞いてはいたものの、舞台で見たことはなくて、今回が初見だったのだが、最初に作られたころの時代が生み出したミュージカルというようなリアリティーは時間の経過とともに薄れているとしても、とても優れたミュージカルだと再認識させられた。
 しかも、これは映画としてもよく出来ていて、それはなんといっても野外撮影の場面を多用して舞台となったニューヨークの空気をうまくとらえていたところで、そこがいかにも舞台的な作りの再現である「シカゴ」「プロデューサーズ」「オペラ座の怪人」などとは違うところである*2
 ただ、逆にそうだからこそ、最初のシーンで全員がこのミュージカルの主題曲ともいえる「シーズンズ・オブ・ラブ」*3を合唱するところだけは舞台の時のをそのまま映し、それが映画の冒頭部分としては見事な演出的な効果を上げているのだが映画からは元の舞台がどんな風な形で演出されていたのかというのが、ちょっと想像できないところがあり、映画を見たことでますます元の舞台劇版が見たくなったのであった。
 出演キャストを10年以上前の舞台初演キャストにしたのも結果的には正解だったのではないか。年齢設定などの面でリアルという意味ではやや問題がなくはないが、この出演者のそれぞれの個性と嵌まり具合はやはりジョナサン・ラーソンと一緒にオフ・ブロードウエーからこのミュージカルを作り上げたオリジナルキャストならではという味を出していた。
 
 

*1:http://www.movies.co.jp/rent/

*2:誤解がないように強調しておくが、これは違いを言ってるので、だから後者の映画はだめだといっているのではもちろんない

*3:すごくいい歌なのだが、このシーンを見ていると、どうしても「ウィー・アー・ザ・ワールド」を連想してしまうのはなぜなんでしょうか(笑い)