下北沢通信

中西理の下北沢通信

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突劇金魚「愛情マニア」@シアトリカル應典院

突劇金魚*1「愛情マニア」(シアトリカル應典院)を観劇。

作・演出 / サリngROCK(サリng助教授 改め)

出演 / サリngROCK
上田展壽
重田恵(コレクトエリット)
片岡百萬両(ミジンコターボ)
服部まひろ
山田将之
一瀬尚代(baghdad cafe)
高島奈々(ホネつき数珠'S)

 西田シャトナーがアフタートークに出ていたのでどうしてなんだろうと思っていたら、作演出のサリngROCKは以前、西田が主宰していたLOVE THE WORLDのメンバーであったようだ。私が見たのは今回が初めてなのだが、2002年の旗揚げというからLOVE THE WORLDとかぶっていた時代もあったみたいだ。
 その作風はひとことで言うのは難しいのだけれど、「腐女子系」といったらいいだろうか。冒頭でいきなり主人公のOL塔子(服部まひろ)が大学生の少年、由利君(山田将之)を自分の部屋に拉致ってきているのだけれど、ちょっときわどいことになりかねないそういう主題(モチーフ)をいかにもあっからかんに舞台に乗せてしまう。この感覚が面白い。
 拉致られた少年は何の抵抗も見せずにそのままこのOLの部屋に居ついてしまい、この舞台ではこの2人を中心にこの部屋に出入りすることなる人物たちの姿が幾分コミカルなタッチで描かれていく。この物語は最近の若手演劇人の作品によく見られる顕著な傾向同様(五反田団デス電所France_panなど)に「妄想系」といっていい系譜に入るかもしれない。ただ、その芝居の作り方は五反田団France_panのようにリアルな語り口から次第に妄想の世界に入っていくでもなく、デス電所のように特異な様式を構築するわけでもない。淡々としながらも登場人物は相当にデフォルメされていて「そんな人はいない」と思わず突っ込みを入れたくなるほどなのだが、個々の登場人物の造形にはかなりそれを演じる俳優の恣意的なアプローチが優先されるという感じもあって、具体例に挙げた3つの集団などと比べるとやや確信犯として自らのスタイルを貫くという部分に弱さを感じた。
 そういう物足りなさはあるにはあるのだが、それではつまらないのかというとこの芝居には感覚的にすごく面白く刺激的なところがある。「腐女子系」と書いたのはひとつには作者であるサリngROCK自らが演じているやおい系勘違い女の存在もあるが、(続く)