下北沢通信

中西理の下北沢通信

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青年団若手自主企画 vol.58 河村企画「珈琲法要」@アトリエ春風舎

作・演出:山田百次(劇団野の上)
出演 渡辺香奈 河村竜也 山田百次(劇団野の上)
スタッフ 照明:井坂浩 衣裳:正金彩 制作:赤刎千久子 宣伝美術:河村竜也
―――幕末。度重なるロシアの侵略により、幕府は蝦夷地北方警備のため計三千名の出兵を東北諸藩に命じた。体験したことのない寒さ、いつ来襲するかも分からぬロシア軍に兵士たちは怯えていた。なかでも宗谷岬や斜里地方に配属された津軽藩兵の環境は劣悪だった。寒さと栄養失調のため、手足が白く浮腫み大きく腫れ上がる病に罹り、津軽藩兵は次々に亡くなっていった。そんな中、南蛮渡来の飲み物「珈琲」が津軽藩兵のもとに配給された。人々はその万病に効くと言われる飲み物を、病が治ると信じて飲むのだった。

前作「東京アレルギー」で劇作家協会新人戯曲賞の最終選考にもノミネートされている注目の作家、山田百次の新作。極寒の蝦夷地で多数の津軽藩士が病に倒れた亡くなった歴史上の悲劇を現代口語津軽弁で描く。哀しいがついつい笑ってしまう物語。一見の価値あり。