下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

JCDN「踊りに行くぜ!!」IIin東京@あうるすぽっと

■上演作品

東池袋中央公園
【C/地元作品 [開催地公募・新作]】
◆アオキ裕キ「日々荒野」http://odori2.jcdn.org/7/?tag=c-aoki
目的へ向け動かすのではなく、
動いた事で生まれた景色に出会いたい。

胸にひゅんと風が通り抜ける。
今、あかりに照らされたそのからだは、何を求め何をしようとしているのか。

演出・構成:アオキ裕キ
出演:新人Hソケリッサ!(伊藤春夫 小磯松美 横内真人 アオキ裕キ 他)
ドラマトゥルク:溝端俊夫
音:國府田典明

座談会 https://www.owlspot.jp/topics/40.html
「おじさんたちの身体まるごとにある歴史から生まれる踊りは善し悪しや、技術うんぬんでない「人間も生き物なんだ」と思い出させてくれるリアルなもの。」

>>主宰・アオキ裕キが、路上生活者の存在感のある体に惹かれ、声をかけ活動を始めた新人Hソケリッサ!は10年の活動歴となる。路上生活者の生きることに向き合う説得力のある身体表現が、にわかに国内外で注目されている。劇場を出て、巣鴨プリズンの跡地、乙女ロードの隣接する東池袋中央公園で新作を発表する。



******* 徒歩8分で劇場に移動 *****

@あうるすぽっと
【A/ダンスプロダクション】
◆岩渕貞太「DISCO」http://odori2.jcdn.org/7/?tag=a-iwabuchiダンスは身体の、闇の亀裂が発する光。その振動と瞬間の、変容と乱反射。

音楽、ダンサー、観客の間を巡る駆け引き。三者の間で起きる交感。音楽はダンサーと観客を等しく誘惑し、観客はダンサーに踊れと視線を送り、ダンサーは観客を自分の世界に誘う。
三者それぞれの「踊ること」と「踊らされること」が混じりあう『DISCO』。

振付・出演:岩渕貞太 
選曲:多田淳之介(東京デスロック)
映像:細川浩伸
振付アシスタント:酒井直之
衣裳:小暮史人(Design Complicity)

※岩渕貞太インタビュー 「ソロを自分の芯にする。」 http://odori2.jcdn.org/7/?p=560
「僕が「音楽」と踊るとき次に挑戦することは、身体の強さが曲の具体性とか、歌詞のメッセージ性をどこまで引き受
けられるのか、だと思っています。」


>>「踊2」で、初めてのソロ作品を選出。音楽選曲の東京デスロックの多田淳之介、言葉をプロジェクションする映像に細川浩伸と劇場に『DISCO』をつくりだす。見てはいけないもの・色気・猥雑さー“誘惑”をキーワードに、ダンスミュージックで踊る岩渕貞太は、孤と解放の狭間を漂う。

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山下残左京区民族舞踊」
舞踊団が立ち上がる 見習うフォルムのない 伝承そのものの有り様
http://odori2.jcdn.org/7/?tag=a-yamashita

左京区というのは学生や自営業の人も多く人種も多様である。歴史的な遺跡や神社仏閣、スピリチュアルスポットも多い。たまに鹿の親子も鴨川に下りてくる。ダンスカンパニーが日常と神話に囲まれた場所の中に立ち現れる道程を描く。

振付・演出:山下残
音楽:田島隆
ダンス:菊池航(淡水)/瀬戸沙門/山下残

山下残インタビューより「左京区|民族|舞踊団 じゃなくて|舞踊|」]
全文はこちらから→http://odori2.jcdn.org/7/?p=207

「京都のイメージは閉鎖的、でも、左京区っていうのはちょっと違う。学生の町で色んな人が集まっている。そういう人たちが“民族”と名づけてカンパニーを立ち上げて、何が原型なのが、何が基本的なメソッドなのか、わけの分からないゴチャゴチャした状態で、山下残がそこで舞踊団を立ち上げていく。」

>>京都を代表する振付家のひとり山下残。これまでソロ活動をメインに行って来た山下が、「集団」からつくりだすものに焦点を当てた新作に挑む。ダンスという掴みどころがないものが生まれる過程と瞬間をダンス・ドキュメントとして描いていく。左京区・民族舞踊という謎の罠に、爽快に巻き込まれていく。



黒田育世「THE RELIGION OF BIRDS」http://odori2.jcdn.org/7/?tag=a-kuroda
知的な分析では見出せない あるがままの心というものを 鳥の踊りが映し出します。
作品タイトル通りの本の中で、鳥の鳴き声を伴って言葉に体重がのしかかっている様、二羽の鳥だけ信仰からはぐれ顛末が語られない様が描かれていること。このことが私に強く突き刺さりました。踊りの作品にしたいと思いました。

演出・振付:黒田育世
出演:伊佐千明/大江麻美子/野村琴音/政岡由衣子/矢嶋久美子/黒田育世
音楽:松本じろ
衣裳:萩野緑

黒田育世インタビューより
「踊りは、知的に分析しようとしたりすると逃げていってしまうもの。」]→http://odori2.jcdn.org/7/?p=400

「心が知的に分析したりしても見つかるものじゃないんだよっていう。心の成したことを考えたとき、踊りは「知的に分析しようとしたりすると」逃げていっちゃうもの、そっちの側のことが好きなんです。」
 
>>BATIKの3年ぶりの新作。身体を極限まで追いつめる過激でダイナミックな振付でジャンルを超えて支持されている黒田育世が、原作をもとに舞踊化するシリーズの第3弾。原作となる仏典の説話をダンス的言語に読み直し振付を紡いでいく。原作を離れ、黒田自身の思いを込めた絵本をめくるような舞台作品。

 劇場で見た3作品三者三様で面白い。「踊りに行くぜ!!」という企画の本来の趣旨であるはずの新たな才能を発掘・育成するという意味では今回のラインナップは「どうなんだろう」と思いもしたが、実力者が揃ったことでダンス企画としては充実した内容のものとなった。
なかでも良かったのは岩渕貞太の「DISCO」。岩渕のこれまでの作品はいくつか見たことがあるのだが、どちらかというとあくまでもストイックに自分の身体と向かい合い、そこから生み出されているどちらかというと微細な動きのなかで自問自答するような作品だった。
 それがこの「DISCO」では冒頭からガンガンと大音響のダンスミュージックが鳴り響くなかで作品が始まる。