下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ガレキの太鼓 復活公演『地上10センチ』@こまばアゴラ劇場

ガレキの太鼓 復活公演『地上10センチ』@こまばアゴラ劇場

作・演出:舘そらみ


「いつ死ぬかわかんないもんね」
「でも明日も生きる気しかしないんだけど」
まだまだ生きるくせに俺たちは、最高の葬式の夢を見たーー。
小劇場から尻尾巻いて逃げ、いつの間にか映像脚本やWEBコラムばかりを
書いていた舘(だて)そらみが、ホームグラウンドで膝を震わせながら数年ぶりに筆を取るハイテンション冠婚葬祭ロードムービー。(本作は演劇公演です)
舘そらみが思いつくアレコレを空間問わず表現する劇団。2009年結成、2011年より青年団リンクとして活動を開始(その後卒業)。2014年に休止、2017年に再開。「リアルに見せかけた現代言葉」を基調にした軽快なやり取りが特徴。軽薄にさえ見えるコミュニケーションと作風は、新聞に“徹底して無責任で刹那的”と評された。目指すのは、観客に「自己問答」の機会をもってもらうこと。その先に、少しだけ生きやすい明日があると信じている。作品はとっても馬鹿馬鹿しいのだけれど。

出演
石川彰子(青年団) 
 海老根理(ガレキの太鼓)
 岡慎一郎 尾﨑宇内(青年団) 小瀧万梨子(青年団/うさぎストライプ)
 小林樹(カムヰヤッセン)酒巻誉洋
 日比野線(FunIQ / 劇団半開き) 村井まどか(青年団

スタッフ

作・演出:舘そらみ
舞台監督:森山香緒梨
演出助手:宍戸ともこ
舞台美術:坂本遼
照明:黒太剛亮 (黒猿)
照明操作:小見波結希(黒猿)
音響:泉田雄太
衣装:本多圭市
宣伝美術:藤牧彩
宣伝写真:玉野夏子
制作:太田久美子(青年団) 吉岡千恵子(TATICA)
協力:大木瞳 川本啓 吉田紗和子 青年団 (株)アミューズ イマジネイション (株)ケイセブン中村屋 (株)TATICA
フォセット・コンシェルジュ スターダス・21 うさぎストライプ カムヰヤッセン FunIQ 劇団半開き 黒猿

 舘そらみという劇作家・演出家も、ガレキの太鼓という劇団名も青年団リンクのリストの中で見たことがあったのだが、これまで実際に作品を見たことはなかった。というのもプロフィールに2009年結成、2011年より青年団リンクとして活動を開始(その後卒業)、さらには2014年に休止とあり、ここ年々かは活動らしい活動をしていないからか。初めて観劇になったが、ある男が余命5年と言う宣告を受け、今までになかったような革命的な葬式の生前リハーサルをやるという相当に荒唐無稽な話だ。
 そもそも何の病気かが分からないので、ピンとこないのだが、余命5年なんてことがあるのか。先日観劇した「S高原から」に出てきた病気も伝染することはないが、完治することもないというような演劇作者にとっては都合のいい病気だったから、今回の設定もそんなにおかしくはないのかもしれないが……。
葬式のリハーサルというアイデアはなかなか面白かった。とはいえ、今までになかったような斬新な葬式と銘打ったもののお金もないし結局、こじんまりとした葬式ごっこでしかないのが余計に悲しい。
 それにしてもいくらなんでもあのラストはないのではないか。まだ、葬式のリハーサルをと言い出した張本人が結局というのなら分からないでもないけれど。4トンの錘というか北からのミサイルで全員吹っ飛ばされるという話かとも思ったよ。