下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Godzilla: King of the Monsters」@吉祥寺オデオン

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Godzilla: King of the Monsters」@吉祥寺オデオン


ゴジラ 2019【HD】キング オブ モンスターズ 予告 King of Monsters

監督 マイケル・ドハティ
脚本 マックス・ボレンスタイン(英語版)
マイケル・ドハティ
ザック・シールズ
原作 東宝株式会社
製作 トーマス・タル(英語版)
ジョン・ジャシュニ(英語版)
メアリー・ペアレント
ブライアン・ロジャーズ
出演者 カイル・チャンドラー
ヴェラ・ファーミガ
ミリー・ボビー・ブラウン
ブラッドリー・ウィットフォード
サリー・ホーキンス
チャールズ・ダンス
トーマス・ミドルディッチ
アイシャ・ハインズ(英語版)
オシェア・ジャクソン・Jr(英語版)
デヴィッド・ストラザーン
渡辺謙
チャン・ツィイー
音楽 ベアー・マクレアリー(英語版)
主題歌 [ALEXANDROS]
「Pray」(日本語吹替版)
撮影 ローレンス・シャー
編集 ロジャー・バート
リチャード・ピアソン
ボブ・ダクセイ(英語版)
製作会社 レジェンダリー・ピクチャーズ

 ゴジラフリークによるゴジラ映画という意味ではこれまでハリウッドで製作されたゴジラ映画としては最高傑作であることは間違いないだろう。というかハリウッドで作られたゴジラでこれまでファンが不満と思っていたこと(ゴジラが弱すぎ、登場シーンが少ない、怪獣同士のバトルがない)などがほとんど解消されており、ここには「シン・ゴジラ」やアニメ版「ゴジラ」のような新奇性はないけれどもその分をSFXなどでのバトルの素晴らしさがおぎなっており、「ゴジラ」にそもそもそうした新奇性は必要なのかとの問題を改めて考えさせられることにもなった。
 確かにこの映画はゴジラ映画としての魅力という意味ではかなり上位に入ると思う。人が演じるモーションキャプチャーとCGの組合せによるゴジラキングギドラモスララドンなどの激しい対決シーンの迫力はゴジラ史上に残るものと言ってもいいだろう。ただ、物語の整合性や説得力などははっきり言って杜撰そのものと言っていいほど*1で、登場人物が人を救うために自らが犠牲となる筋立て自体は毀誉褒貶はあってもそれなりに感動的なものだと言えなくもないが、2人の怪獣研究者による似たような場面が二度も繰り返されては鼻じらむ思いにとらわれてもくる。まさかこれって日本好きのマイケル・ドハティ監督の「カミカゼアタック」的なものへのオマージュということはいくらなんでもないよなあとさえ考えた。
 モンスターバースシリーズの超古代の神々がモンスターであるという設定のモトネタが、ラブクラフトらによるクトゥルー神話であるというのがあるが、これは平成ガメラシリーズの怪獣は古代の神獣で守護するのは人類ではなく、地球の生態系という設定と重なり合うし、よく考えたら平成ゴジラシリーズにもその延長の設定はあった。
 ラストシーンのキングギドラの頭を例の組織の頭領が買い取る場面、次の作品への伏線だとすれば次回作品「ゴジラキングコング」は前半は両者が戦うが、後半キングギドラかそれに関係する何か(メカキングギドラが有力だが、その細胞から生まれたデストロイヤー的な新怪獣も可能性あり)がゴジラキングコングと戦うという展開もありそう。

simokitazawa.hatenablog.com

*1:一番分からないのは怪獣を蘇らせた悪の組織の目的。