下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

青年団若手自主企画 vol.80 堀企画「トウキョウノート」@アトリエ春風舎

青年団若手自主企画 vol.80 堀企画「トウキョウノート」@アトリエ春風舎

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トウキョウノート
 堀企画による暗闇の中の「トウキョウノート」はカメラオブスキュラを用いた光の作家であったフェルメールに対して、闇の中に浮かび上がる人物像を描き出したレンブラントの絵画のようにも見えた。
 光の当たった表面を写しとるフェルメールの絵画手法と人間の内面ではなく、発話されたセリフによって関係性を提示する平田オリザの手法が二重写しになる構造が平田オリザ演出版「東京ノート」の骨幹だと考えている。ところが堀夏子が再構築した今回の「トウキョウノート」にはそういう構造はない。
 代わりに浮かび上がるのは闇の中に朧気に見える人影だ。演出家の堀は照明で切り取られて浮かび上がる人物にフェルメールを重ねたようだが、冒頭に書いたようにそれはむしろ光と影の画家であるレンブラントの絵のように見えたのように見えたのである。
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レンブラントの作品
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フェルメール

作:平田オリザ 構成・演出:堀夏子


青年団の代表作『東京ノート』を 解体し、戦争と死を抽出して再構築します。
これは永遠に届かないあなたへのラブレター

東京ノート』とは
1995年、第39回岸田國士戯曲賞を受賞した平田オリザの代表作。
近未来の東京の美術館。ヨーロッパでは大きな戦争が起こっている。
戦争から避難してきたフェルメールの絵画を前に、
家族や恋人たちなどによる断片的な会話が淡々と繰り返され、
その中から現代社会を生きる日本人の様々な問題点と危機があぶり出されている。

堀夏子
2005年劇団青年団入団
青年団の代表作『東京ノート』『ソウル市民』や
鶴屋南北戯曲賞受賞の『日本文学盛衰史』などの
新作にも多数出演。2020年2月青年団第81回公演『東京ノート』に出演予定。

今作で平田戯曲の演出に初挑戦する。
青年団若手自主企画堀企画としての第一回目公演。


撮影者:堀夏子 撮影日:2019年9月


出演

近藤強*
佐山和泉(東京デスロック)*
永山由里恵*
坊薗初菜*
佐藤岳
矢野昌幸
北村美岬

=青年団

スタッフ

照明:井坂浩
音響:櫻内憧海
制作:太田久美子
総合プロデユーサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)