下北沢通信

中西理の下北沢通信

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スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』市川猿之助 フルバージョン @京都南座Super Kabuki II SHINPAN OGURI Full Version

スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』市川猿之助 フルバージョン @京都南座Super Kabuki II SHINPAN OGURI Full Version

 元木ノ下歌舞伎の演出家、杉原邦生演出によるスーパー歌舞伎。座頭でもある市川猿之助との共同演出のクレジットとはなっているが、いくつかの場面でいかに杉原らしい演出が組み込まれ、もちろん、これまで演出助手として一緒に仕事をしてきた猿之助の意向を踏まえたうえでの演出ではあると思うが、独自色もかなり打ち出し、先代の時代との差別化も明確に進んでいて、期待に応えた出来栄えではなかったかと思う。
 ただ「オグリ」という芝居を今やる意味合いについてはいまひとつピンと来ない部分があったとは思う。途中で早々と殺されてしまい地獄で閻魔大王に反逆したために罰として、病気で瘡が出来た醜い姿でこの世に舞い戻るという試練を与えられたというのだが、もともとの話がそういう話であったとはいえ、それが実は閻魔大王の与えた試練であったというのは筋立てとしても不自然。「八犬伝」や「ヤマトタケル」のような痛快な活劇的な見せ場があまりないのも、少し物足りない思いもした。

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