下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!第110夜』篠原ともえ・百田夏菜子登場@フジテレビNEXT

『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!第110夜』篠原ともえ百田夏菜子登場@フジテレビNEXT

概要
しおこうじ=ももいろクローバー玉井詩織×THE ALFEE坂崎幸之助ダウンタウンしおこうじバンド加藤いづみ生誕祭!オトナゲスト篠原ともえ!ほかシークレットも

内容
しおこうじ=ももクロ玉井詩織×アルフィー坂崎幸之助加藤いづみ百田夏菜子生誕祭名演集!夏菜子は何らか参加するのか?ダウンタウンしおこうじバンド宗本康兵音楽監督佐藤大剛・竹上良成・やまもとひかる・朝倉真司!オトナゲスト篠原ともえ!たぶんもう2度と放送されない超貴重な過去映像も!シークレットゲストミュージシャン複数出演?4月5月6月に続く完全保存版とソーシャルディスタンスなスタジオに全員集合で生演奏

セットリスト
M01:Link Link (坂崎幸之助ももクロ)
M02:Rockdom ~風に吹かれて~ (玉井詩織THE ALFEE)
M03:風のファンタジア (加藤いづみ加藤いづみ)
M04:あの日、私の歌が生まれた (加藤いづみ玉井詩織加藤いづみ)
M05:リンダリンダ (加藤いづみ山本ひかるTHE BLUE HEARTS)
M06:オットーの動物園 (加藤いづみ加藤いづみ)
M07:クルクルミラクル (播磨かな&篠原ともえ篠原ともえ)
M08:地下鉄にのって (篠原ともえ吉田拓郎)
M09:帰れない二人 (篠原ともえ玉井詩織井上陽水忌野清志郎)
M10:LOVE LOVE GIRL POP (オールキャスト/ねずみがえし)
M11:好きになって、よかった (加藤いづみ夏菜子/加藤いづみ)
(はみ出し配信)
M12:パフ(しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助PPM

 佐々木彩夏のソロコン配信を見て、どう思ったかというのを一番聞きたいのが、フジテレビ地上波時代から何十年にもわたって音楽番組の制作で陣頭指揮をしてきたきくちP。おそらく、それなりの衝撃を感じなかったら嘘だと思うけれどどうだろうか。ライブの時は毎回発信していたのでコメントしない*1のは他社からの配信であることへの配慮があるんだろうと思う。
 とはいえ、フジテレビNEXTで「しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!」を作っている今の立場としては「うちはそんなにお金もないし、やれることをやるしかないよ」という気分かもしれない*2
 そういうことで、ここ数回ポストコロナのフォーク村のあり方を模索する回が続いてきたが、新たなスタイルの原型がかたまりつつあるのではないかと感じた今回の放送だった。
 今回興味深かったのはここまで何回かももクロメンバーの過去の出演回の特別編集総集編を流すという構成をやってきた。今回も最後の最後に百田夏菜子がシークレットゲストで登場。メンバの中でただひとり残されていた総集編が放送されて、それは18分にもわたるスタッフの力作であり、彼女の最初のフォーク村登場で歌った「初恋」から始まり、歌の歌い手としての成長の軌跡が伝わるファンにとっては秘蔵版ともいえる内容だったのだが、それ以上に興味深かったのはレギュラーの加藤いづみの映像総集編とゲストの篠原ともえの過去出演の総集編も流したことだ。
 番組の過去映像というのはテレビ局にとっての大きな財産であって、もちろん、どこかの局のように本人にライブもさせずに映像を流すだけの編集なら手抜きと言われてもしかたない部分はあるだろうが、メンバーの過去映像の編集に携わりながら、こうしたアーカイブが大きな武器であることを再認識したのではないかと思う。
 というのは、今回の番組の白眉がゲストの篠原ともえのフォーク村への出演回総集編とさらに遡って、きくちPが過去にかかわった篠原出演番組も合わせての総集編だったからだ。テレビ局の番組アーカイブシステムがどのようになっているのかはよく分からないが、「篠原ともえ」で検索すれば一覧が出てくるというものではないはずで、ここには他のプロデューサーには追随できない経験値が入っている。こうした映像のなかで氷解してきたこともあって途中何度か「ともえちゃんフォークジャンボリー*3という映像が何度か出てきて、篠原ともえ坂崎幸之助とともにMCをつとめたフジテレビの特番のようなのだが、これはかなり明確に後の「ももいろフォーク村」への源流となっているものだというのが分かった。
 ポストコロナにおける番組進行のフォーマットが固まってきたのではないかと書いたが、冒頭の坂崎幸之助による「Link Link 」から、玉井詩織によるTHE ALFEEという流れはもはや鉄板である。実は「Link Link」では今回の前回の「あんとば」同様に小さな歌いそこないのミスがあったが、「ひょっとしたら、これは実は意図的なもので演出かも」との疑いを持ち始めているほどだ。意図的なものではなかったとしても同じ生番組でも例えばFNS歌謡祭でこういうミスは絶対にしないはずで、演出家の意図としては生放送での生歌唱という「フォーク村」の最大の特徴を分かりやすく伝えるにはそういうのはある意味歓迎という番組の姿勢もあるのだと思う。玉井詩織が送風機の風を浴び続けるという演出も笑わせてもらったが、あれもももクロがリハの時に送風機で数曲おきに空気を入れ替えていると言っていたので、ポストコロナ演出の側面もあったかもしれない。
www.youtube.com
 この回は加藤いづみの誕生日回でもあって、ダウンタウンしおこうじバンドのメンバーとしてレギュラーでありながら、ゲスト扱いで登場したが、加藤いづみとしてのデビュー前に別名義で別プロジェクトとして歌ったというアニメ「ロードス島戦記」の主題歌「風のファンタジア」*4を歌ったことだ。この歌でのデビューからは今年で30周年ということで歌ったということだが、「ロードス島戦記」は原作の小説のほかアニメ、ゲームと展開し知名度も高いので、これまでほとんど歌ったことがなかったというのは逆に不思議なことでもあって、別名義ということもあり何か大人の事情があり、歌うことが出来なかったのかもしれない*5。調べてみるとこの時「Adèsso e Fortuna〜炎と永遠〜」という曲も一緒に歌っているらしいから、これもいつか披露してほしい。
加藤いづみ誕生日企画では玉井詩織とのデュオ「あの日、私の歌が生まれた」もよかった。玉井はほかの3人のメンバーに比べると音圧が低いので、いわゆる「歌うま」の人の歌い方ではないが、素直な歌い方でピッチが正確で乱れることがないので、加藤いづみのようなパワフルに歌うタイプではない巧い人とふたりで歌うと相手のよさをつぶすことなく 、相乗効果を見せることがあり、この曲もそういうよさが引き出された選曲だった。
 逆に山本ひかると一緒にカバーした「リンダリンダ」は冒頭思わず、この歌をそんな風に歌うの?と思わず腰を抜かしそうになった。このアレンジだと加藤いづみはともかく山本ひかるは苦しかった(笑い)。途中でアレンジが変わって、原曲に少し近づいたら、途端に生き生きとしてきたから、アレンジに対して「うーん」と思ってしまった。とはいえ、自分でYoutubeに入れているヨルシカとか似たような傾向の歌唱法になる曲以外のいろんな曲に歌でも挑戦させてもらっているのはいいと思う。まだ、残念ながらこの歌ははまったという曲には出会えていない気がするが。

19960826 クルクルミラクル
この日のオトナゲストは何と篠原ともえ。本人登場の前にいつもなら本人が歌いながら登場するはずの「くるくるみらくる」を播磨かな(改名)が歌いながら登場。本来ならサプライズになるはずだが、直前のスタプラ番組「ガチンコ☆スターダスト」で播磨がこの歌を聴いていたので「やっぱり」の第一印象になってしまった(笑)。とはいえ、この日の起用で播磨はこれまで篠原ともえが「お台場フォーク村」で務めていたサプライズの飛び道具要員の後継者の座に名乗りを上げたようだ。
 「地下鉄にのって」もよかった。動画サイトで坂崎幸之助と一緒に歌っているものを見つけた*6のだけれどそれを見ても篠原が本当は歌もうまいんだということがよく分かる映像。今回もよかった。
  フォーク村で「帰れない二人」というと夏菜子、杏果の珍しい組み合わせで二度ほど歌われたことがあり、いずれも名演だと思っているのだが、残念ながら、このところのフォーク村の過去映像の使用法を見る限り、それはもう総集編でも放送されることはないだろう。残念ながら仕方がない。
 どうしても夏菜子のなんともいえないせつない声色にこの歌が合っていたとの思いは隠せないが、今回の篠原ともえ玉井詩織もまったく違う持ち味でいいパフォーマンスであった。いつか夏菜子・詩織の組み合わせで聴きたい気もするが、この歌の色合いからすれば高城れにも向いているかもしれない。
 この日は一番最後に百田夏菜子がスプライズでやってきて、総集編が放送されるととも自粛期間中に加藤いづみの映像に夏菜子が歌を合わせたものをYoutubeにアップした「好きになって、よかった 」を今回は生で披露した。この日最高の名演だったと思う。

ももクロ百田夏菜子×加藤いづみ「好きになってよかった」
 はみだし配信になってしまったがしおこうじによるピーター・ポール&マリーの「パフ」も良かった。ソロ歌唱では少し弱いところのある玉井の歌唱だが、何度も書いているがこういう曲のようにコーラスやハモリが加わると相手の声を生かすよさがあり、この曲もなかなかよかった。英語歌唱のため若干不安定なところがあったが、これはレパートリーとして場数を踏めばさらに大化けするんじゃないかとの予感も感じた。また、情緒を歌い上げるような日本の歌では感情が声に入るタイプの夏菜子やれにに一日の長があるが、さらりと歌えるタイプの洋楽は詩織に向いているのではないかと思う。希望としてはビートルズ曲を歌ってほしい。

【歌えるオールディーズ 15】 パフ (ピーター・ポール&マリー)

*1:後から気が付いたのだが、twitter夏菜子の誕生日を祝うコメントの前に「あーりん!今年も構成演出リスペクト!」と一言だけはコメントしていた。

*2:もちろん、この部分は単なる想像です

*3:www.fujitv.co.jp

*4:
ロードス島戦記 - 風のファンタジア

*5:同曲は“Sherry”名義で歌唱。同曲は1990年7月21日にビクター音楽産業よりシングルリリース。加藤いづみはデビュー以来ポニーキャニオン所属というところまでは分かった。

*6:
地下鉄にのって(作曲:吉田拓郎) 篠原ともえ