下北沢通信

中西理の下北沢通信

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しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!「ダウンタウンしおこうじ合唱団」第114夜@フジNEXT

しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!「ダウンタウンしおこうじ合唱団」第114夜@フジNEXT

冒頭の坂崎村長による「いつか君が」(ももクロ)、玉井詩織による「水曜の朝午前3時 」(THE ALFEE)はもはやなんの違和感もない自然な流れ。しおこうじによる英語曲の演奏は今回はママス&パパスの「夢のカリフォルニア」だが、出だし一度のやり直しはあったものの堂に入ったものであった。玉井詩織にどこまで試練を与えるのかというのが、毎回焦点となるのだが、何かが控えていると明らかにそれがあらかじめ分かる夏菜子やれにと違い詩織の場合は楽々とそれをこなしているように見えてしまう。本人がいろいろ言うので過保護なファンがすぐに心配して甘やかすのだが、もう少し負担を増やしても大丈夫なんじゃないか。次はももクロ回だが近いうちに「ほぼまるごと『しおこうじライブ』」の回を作ってもいいのじゃないかと思った。7~8曲連続英語曲(ビートルズなど)とかのセトリで。
 前回の感想*1で「ゲストにももクロ楽曲をその人自身のアレンジによって歌ってもらうというのはよいのではないかと思った」と書いたのだが、その人自身のアレンジというのは違うかもしれないが、The Voices of Japan (VOJA)、中嶋ユキノ参加によるアカペラ(コーラス)アレンジのももクロ楽曲3曲(「「Z」の誓い 」「泣いてもいいんだよ」「 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」)が素晴らしかった。
 ゲストの中嶋ユキノが夏菜子、加藤いずみが高城れに、やまもとひかるがあーりんのパートをそれぞれ務め、玉井詩織は自分のパート。コーラスアレンジは加藤いずみが担当した。
 今回のパフォーマンスを見ると中嶋ユキノはかつて所用で欠席となったももクロライブ「桃神祭」でコーラスの代役を務めたほどで、歌はきわめて上手い部類に入るはずだが、夏菜子パートを歌うとかなり必死の形相にならざるえない。特に「 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」などはそうで、これを歌いながら激しいダンスやフォーメーションの移動を同時に行っている百田夏菜子がいかにとんでもないかが逆説的に分かってくる。
 とはいえ、前回で清井咲希を選んだMVPを今回も選べばやまもとひかる(ベース)になるだろう。この3曲ではあーりんパートを任され、軽い発声をする彼女のいつもの歌い方ではこなしきれない楽曲に挑戦。特に歌に専念した「 猛烈」ではあーりんに意図的に寄せた歌唱法も試みるなど新境地を見せてくれた。
 ベースボーカルとしてコーラス隊と一緒に歌った「いつか」(山下達郎曲)もやはり音楽の方向性もあってかこれまで聞いた ことのないようなパワフルな歌い方も披露。ベースのカッコよさも含めて、彼女はやはりスター候補のキラメキがあると思う。きくちPはかつてこのフォーク村でボーカルとしての有安杏果を徹底的に鍛え、現在の独り立ちへの礎を築いた*2が、最近のやまもとひかるへの遇し方を見るとこれは明らかにやまもとひかる育成プログラムの一環だろうと考えた。そんなこととは関係なく、やまもとひかるはいわゆる美人ではないが、愛嬌があってカワイイ。考えてみればそういうところもももクロと共通点があって、応援したくなるのである。ウッドベースも弾けることにも驚嘆。
 一方、前半登場したなぎら健壱は良質な音楽番組的な後半の構成とは別天地。まるで別番組としか思えないほどだが、考えてみればこういうフォーク界の大御所を一人呼んで自由にやってもらうコーナーを作れば後はももクロ楽曲をはじめ何をやっても「どこがフォーク村?」などと悪口を言われない。一種の免罪符的な役割を担っているのだ。
 とはいえ、なぎら健壱。特に好きなわけではないが、懐かしい。
我々の世代ではなぎら健壱といえば「悲惨な戦い」*3なのだが、番組中いろいろ放送禁止歌のことについて触れていたが、この歌のことは完全スルーであった。やはり、NHK批判はギリ許されてもこれはタブーなんだな(笑い)。
それでも「ごあいさつ」「値上げ 」「NHKに捧げる歌」 「くそくらえ節」「教訓Ⅰ 」「戦争は知らない 」など今の政府に忖度してばかりの最近の地上波では披露が難しい歌を生放送を武器に連続して歌わせていることには坂崎幸之助ときくちPの気骨を感じた*4

なぎら健壱
The Voices of Japan (VOJA)

しおこうじ(玉井詩織×坂崎幸之助)

生演奏
ダウンタウンしおこうじバンド
宗本康兵
加藤いづみ/佐藤大剛/やまもとひかる/竹上良成

・セットリスト
M01:いつか君が (村長&しおりん/ももクロ)
M02:水曜の朝午前3時 (しおりん/ももクロ)
M03:夢のカリフォルニア (しおこうじ&The Voices of Japan/ママス&パパス)
M04:ごあいさつ (なぎら健壱&村長/高田渡)
M05:値上げ (なぎら健壱&村長/高田渡)
M06:NHKに捧げる歌 (なぎら健壱&村長/早川 義夫)
M07:くそくらえ節 (なぎら健壱&村長/岡林信康)
M08:教訓Ⅰ (なぎら健壱&村長/加川良)
M09:戦争は知らない (なぎら健壱&村長/ザ・フォーク・クルセダーズ)
M10:悲しくてやりきれない (しおりん&なぎら健壱&村長/ザ・フォーク・クルセダーズ)
M11:願い文字 (中嶋ユキノ/中嶋ユキノ)
M12:Joyful Jouful (The Voices of Japan)
M13:好きになって、よかった (加藤いづみ&中嶋ユキノ&The Voices of Japan/加藤いづみ)
M14:いつか (やまもとひかる&中嶋ユキノ&The Voices of Japan/山下達郎)
M15:人間だから悲しいんだ (村長&中嶋ユキノ&The Voices of Japan/THE ALFEE)
M16:「Z」の誓い (オールキャスト/ももクロ)
M17:泣いてもいいんだよ (オールキャスト/ももクロ)
M18:猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 (オールキャスト/ももクロ)
M19:生活の柄 (なぎら健壱高田渡)

www.fujitv.co.jp

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:そのことが気に入らないももクロファンがいることは承知の上で敢えて書く。

*3:
悲惨な戦い/なぎらけんいち

*4:そして、地上波テレビで出世できなかった理由もここにあるんだなとも同時に感じた。私は今の姿勢を断然支持したいけれども。