下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

たこやきレインボー生配信ライブSHOW「真夏のホームパーティー・ザ・ワールド」(アーカイブ、2回目)

たこやきレインボー生配信ライブSHOW「真夏のホームパーティー・ザ・ワールド」(アーカイブ、2回目)

f:id:simokitazawa:20200903100132j:plain
 たこやきレインボー生配信ライブSHOW「真夏のホームパーティー・ザ・ワールド」のアーカイブ配信を見た(9月28日まで)。配信がどのようなコンテンツとなっていたかについての全般的な感想*1については生配信時に書き留めたので、今回はもう少し細かい点で気が付いたことなどを書き記すことにする。
 前回書き落としてしまったが、構成にはいったオークラの台本について。たこ虹ハウスでは「たこ虹の家でいるTV」でいつも即興の茶番劇が始まるのだが、オークラのコント台本は実際の配信での出来事を研究して参考にしたことがうかがわれるものとなっていた。ただ、展開自体は書き込まれた台本特有のわざとらしさと感じる部分があった気もする。「ウレロ」や「東京03」のコントでは台本があっても、本番ではお互いの阿吽の呼吸からアドリブを入れて、それを台本そのままにはやらないのが通例だが、初めてオークラの台本でやることもあって、たこ虹メンバーはできるだけ台本に忠実にやろうとしたのではないか。それはある程度はやむをえないことで、もともと本来の台本をアドリブで自由闊達に崩していくような対応力はたこ虹メンバーにもあったと思うが、今回に関しては距離感の取り方が難しかったかもしれない。今後も引き続き関係を持つことが期待される。
 それでもネット上での指摘で「UFIだ」というものがあったことから分かるようにコント自体はオークラらしいものだったかもしれない。UFIとは「ウレロ」シリーズでももクロが演じていた架空のアイドルグループ。

13.We are UFI!!! -2011.12.17-

We are UFI !!!!
 たこ虹ハウスでの展開について、しりとりのネタについて、さくちゃんのボケに対して全員が同時にユニゾンでつっこみをいれる部分がどこでそのリズムに既視感があると考えていたのだが、この「We are UFI !!!!」での一連のやりとりがそれだ。ひさしぶりに「We are UFI !!!!」の映像を見直してみたが、ももクロはキャサリン役の杏果抜きでこの歌を歌う可能性は非常に低いと思われるので、OIFか何かでたこ虹がカバーしてくれないかなと思ってしまった。
 今回の配信でもうひとつ特筆すべきなのは撮影監督に河谷英夫を起用したことかもしれない。河谷はつんく♂と組んでハロープロジェクトの仕事を手掛けてきた映像ディレクターだが、アイドル映像の専門家としてアイドル個々の魅力を引き出すことをモットーとしてきた。最近の仕事の代表がこのモーニング娘。のOG(オリジナルメンバー)と現役の合同チームによる20th『モーニングコーヒー
*2だが、双方の魅力をうまく引き出すために正面からの顔のアップのショットを多用しているのが分かる。
 今回の配信でも同じようにたこ虹メンバーの個々の顔のアップが多用されるものとなっているが、それに加えて配信ライブであるということをより強調するために手持ちで寄りの画像を撮るカメラを多用し、配信中はカメラマンが映りこむことを批判する声がコメント欄で散見されたが、あれは十中八九意図的なもので、そういう映像を混ぜ込むことでリアルタイムの臨場感を演出していたのではないか。
 こうしたカメラワークについては現役のテレビカメラマンスタッフが「自分たちライブ映像の専門家にはまったくない発想」のような趣旨のコメントを挙げていた。ももクロ陣営の面白さは配信ごとに違うチームを起用することで、スタイルの多様性を追求していることにもあるかもしれない。
 河谷はももクロのMV撮影も何度も行っているが、中でも注目すべきなのはももクロMV史上もっとも「カワイイ」によった「サンタさん」
*3
を撮ったのが河谷だったということ。ももクロのMVの中では異色の作品と言っていいが、配信を見終わって感じたのは佐々木彩夏の中にはこの時のイメージが強烈に残っていて、今回の撮影監督を依頼したのではないかと推測させられた。
 それにしても今回ひさしぶりに「サンタさん」のMVを見て、通常運転では当時サラリーマンの服装を衣装として着せられたり、その「かわいさ」を封印されていたももクロメンバーがそれを解放された時の凄まじい破壊力であるが、今回のたこ虹のポテンシャルにはそれに負けないだけのが感じられた。なかでも、清井咲希(さきてぃ)のあざといと思うほどの破壊力はかわいさ全盛期のももクロメンバーを凌駕するほどであると感じた。
 もちろん、それだけではなくて、 一見無造作に見えて、実は一部の隙もないダンススキルや奔放に見えながら基本のラインはしっかり押さえている安定した歌唱力。このレベルのパフォーマンスを生で展開できるアイドルはあまりないと思う。
 調べてもうひとつ気が付いたこと。たこ虹のファンの人には既知の事実かもしれないのだけれど、今回の配信、振付師に野本清の名前がクレジットされていて、聞いたことのない名前だから誰なのだろうと思って、ネット検索してみたら、元air:man*4の一員だった人なのね。メイキングの部分にはいつくばって後ろ向きに動いていく動きを振り移している男性が映りこんでいて、それがこの人なんだろうと思う。この作品ではカメラの移動で振付の動線やフォーメンションが通常と変更される部分がたくさんあって*5、即座に振付し直したと思える部分が多々あるが、それを担当した野本と振りを即座に入れて対応したメンバーの底力も凄いと思う。air:manはCMなども数多く手がけていたグループだったから、野本もこうした現場対応力には長けていたかもしれない。たこ虹のダンスのコーチ役みたいなことをずっとやっているとすれば「目隠しで踊ってみた」に出てきている男性もそうかもしれない。
 ここから先は推定にすぎないのだが、Youtube上にダンスの振り付けの参考動画*6を発見したのだが、これをアップした人の名義が野本清になっている。自分用、あるいは訓練用の参考動画なんだとすればほとんどがK-POPの振付動画となっているので、たこ虹にもこういう動画を見せながら指導をしているのかもしれない。事実、現在のたこ虹のスキルはこうした動画のダンスと比較しても遜色ないものである。

セットリスト
M-1 サンデーディスカバリー(short ver)(たこ虹ハウス)
M-2 サマーゴーランド(short ver)(アフリカ篇)
M-3 なにわのはにわ(アフリカ篇)
M-4 踊れ!青春カルナバル(アフリカ篇)
M-5 プレイバックス(ヨーロッパ篇)
M-6 Boules de poulpes S'il vous plait(ヨーロッパ篇)
M-7どっとjpジャパーン!(米国篇)
M-8 ウエッサイ・ストーリー(米国篇)
M-9 Whoop It Up!(米国篇)
M-10 恋のダンジョン(米国篇)
M-11 もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-(たこ虹ハウス)
M-12 Pa Pa Pa Party(ハワイ篇)
M-13 ナナイロダンス(ハワイ篇)
M-14 RAINBOW~私は私やねんから~(ハワイ篇)
M-15 Super Spark(メイキング)
M-16 ほなまたね サマー(ギターver)(アンコール、ハワイ篇)

撮影場所はここ*7みたいだ。逗子アリーナに続き、結婚式場だが、結構式場は複数のスペースがあるほか、現在はコロナ禍でほとんどの式場は式が中止になって空いており、配信ライブの撮影会場として通常よりも安価で借りることが出来るのかもしれない。未確認ではあるが、ももクロはこれまでも大規模ライブのオープニング映像の撮影場所としてこうした会場を使用した実績があり、この場所もそうした会場のひとつかもしれない。

gyao.yahoo.co.jp