下北沢通信

中西理の下北沢通信

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山下残「何だかすべて忘れられないね」@TPAMオンライン

山下残「何だかすべて忘れられないね」@TPAMオンライン

山下残による山下残らしい作品。オンライン配信というのでクリックして入ったアドレスに山下残のインタビューがあり、それは山下のTPAM参加後の海外でのアーティスト活動について話したインタビューで、ピチェ・クランチャンやマレーシアで国会議員になったファミーらとの出会いも語られており、かなり興味深いものであった。それを一応読んだ後、本編のパフォーマンス映像はどこにあるかとそのサイト周辺を30~40分探しまわったが見つからない。
このサイトおかしくないかと疲れ果てて再び下記の場所に戻って作品解説を斜め読みしているとこんな風に書いてある。

『何だかすべて忘れられないね』は、1995年の第1回目のTPAMにブース出展した当時から2020年の現在まで山下が展開した活動、出会った人々、見たもの、晒された視線、経験した変化について、事実のみを語る虚偽のインタビュー。パフォーマンスとしてTPAM2021のウェブサイトで「上演」され、会期終了と同時に消滅します。

つまり、これは概念芸術(コンセプトアート)でこのインタビュー自体がパフォーマンス作品だと山下残は言い張っているわけだ(笑い)。以前、伊藤キムが主演したひとり芝居をダンス作品だと言い張っていて、「これは演劇なんじゃないか」と本人に問いただすと「私にとってはこれがダンスだ」という趣旨の答えが返ってきて、本人が「これはダンスだ」といえばそれがダンスなのかと当惑したことがあったが、今回の作品はまさしくその延長線上にあるともいえるかもしれない。
ちなみにプログラム紹介の欄に「上演時間約 30〜40分」とあるのだが、私が映像作品を探してweb上を彷徨っていた時間がまさしくこのとおりの時間なのであった。山下残恐るべし。
www.tpam.or.jp