東浩紀「ゲンロン戦記 『知の観客』をつくる」(中公新書ラクレ)
東浩紀「ゲンロン戦記 『知の観客』をつくる」(中公新書ラクレ)を読了。ゲンロンカフェには以前は足しげく通っていたのだが、最近はいつの間にか遠ざかっていた。ましてやコロナ禍以降は有観客イベント自体が開かれていないし、どうなっているのかと考えていたが、こんな感じなのか。有観客で20~30人の有観客イベントを企画していただけで四苦八苦していたので、ゲンロンの運営状況は外から見ると羨ましかったが、内実は苦しかったのだと知り、逆に励まされるとともにまた頑張ろうと思った。
「ゲンロン戦記」ではゲンロンの経営について具体的な数字も一部外部に出して赤裸々に語っているのが興味深い。特にそうなのかと思ったのがゲンロン友の会会員数で2010年~2019年の間に一度スタート時の1613人から2452人まで増えた(2012~13人)のが2年間で1791人に減少。危機に陥ったのが現在は3749人と倍近くに伸びているのが面白い。
ゲンロンの場合は一般書店で販売していない書籍の場合はほぼ会員にしか販売していないわけで、ラフな計算では思想書の場合はこの程度の部数が潜在的な購読者と言えるわけだ。それでも経営が成り立つという理屈が立てられるのはこまばアゴラ劇場の経営などと相通じるところがあるのかもしれない。