「笑の内閣のタカマニズム宣言」@シラスチャンネルがスタート
「信長のリモート 武将通信録」
ゲンロンの東浩紀が運営する配信プラットホーム「シラスチャンネル」に京都に本拠を置く劇団、笑の内閣の高間響がチャンネル「笑の内閣のタカマニズム宣言」を開設。コンテンツ配信を開始した*1。
この日は名刺代わりの短編演劇「君の名は」を配信した後、スタート記念トークとしてゲストに宮台真司を招き「笑の内閣について」の表題で対談。笑の内閣がこれまでどのようにユニークな作品を作ってきたのかなどについて、宮台真司の独自の見方による分析を交えて紹介した。「君の名は」はあの名作アニメ映画をある方の運命と重ね合わせたものだが、これを見ただけでも笑の内閣の芝居が「ちょっとヤバい」というのが分かるだろう(笑)。
初めての配信ということもあり、途中何度にもわたり画面がフリーズしてラジオ状態になりながらの配信になるなどのアクシデントもあったが、私は昨年の演劇ベストアクトの1位*2に笑の内閣「信長のリモート 武将通信録」を選ぶなど以前から高く評価している集団だけに新たなプラットホームでの展開が彼らの活動により刺激を与えて新たな観客との出会いにつながることを期待したい。
チャンネルのメインコンテンツは時事問題を題材にした過去作品の配信とそのアフタートーク的な対談とのセット。最初は高間響か東浩紀の著書「福島第一原発観光地化計画」*3にヒントを得て制作した「超天晴!福島旅行」の配信とその2日後には福島県在住のローカル・アクティビスト、小松理虔をゲストに招き、東日本大震災、福島第一原発事故から10年目の福島の現在について語り合う。 2人目のゲスト(20日)は「福島三部作」で岸田國士戯曲賞を受賞した谷賢一。福島に関することが中心にはなるはずだが、あのテーマの新作を控える高間響があの問題について聞かないでスルーするはずはないはず。
私が笑の内閣に注目したのは本編である演劇の面白さはもちろん大前提だが、公演の際にゲストに呼ぶアフタートークでのゲスト陣の顔触れの面白さ*4にあった。毎回そこで上演される作品の主題に合わせたトークゲストはもちろんだが、それ以外に今回初回ゲストに呼ばれた宮台真司や内田樹らこの劇団の応援団とも言うことが出来るようなゲストが顔を揃えるため、それを楽しみに劇場に足を運んだ常連客も少なくなかったはずだ。
こうした開かれた関係性を外部に広げていくことが笑の内閣の強みでもあったのだが、コロナ禍以降劇場にゲストトーカーを呼ぶことが難しくなってきてからはそれがあまりうまく機能していないきらいがあった。笑の内閣はコロナ以降の配信演劇で演劇配信はツイキャスで有料番組、アフターあるいはプレトークはYoutubeでの無料配信として提供していたのだが、これらは互いに連携性がないこともあり、宣伝があまりうまくは行き届かずせっかく知名度のあるゲストをブッキングしてトークを行ってもそれがなかなかそうしたコンテンツに興味を持つ層には届かずアクセスも限定的になってしまうなどの課題もあった。今回すべてを一括してシラスから配信することができるようになり、シラスは日本国内に笑の内閣がこれまで提供してきたようないろんな社会的問題やそれを識者と論じるようなトークに興味を持つ人がもしいるんだとしたらここにあるという可能性を持つプラットホームであることもあり、笑の内閣がここでのマッチングでどのような評価を得ることができるかが楽しみなのである。
月額2200円
6月14日 最初の放送は21時から 社会学者の宮台真司さんがゲストのトーク番組「笑の内閣とは?』
shirasu.io
(単品価格1100円)
15日は 2014年上演「超天晴福島旅行」 放映
shirasu.io16日以降も続々(月4〜5本ほど 放送)
shirasu.io
shirasu.io
*1:ということにかなり興奮していたのだが、世間的にみるとあるいは演劇界隈だけで見てもまったく注目されてなさそうなので、悔しくてならない。この日は歴史的な日だと個人的には思っているのだが。
*2:simokitazawa.hatenablog.com
*3:
*4:例えば2016年こまばアゴラ劇場アフタートークゲストは以下の陣容 7月13日 鈴木邦男氏(一水会顧問) 7月14日菅野完氏(「日本会議の研究」著者) 7月15日安田好弘氏(弁護士) 7月16日宮崎学氏(作家) 7月16日広田淳一氏(作家・演出家・アマヤドリ主宰) 7月17日阿蘇山大噴火氏(裁判傍聴芸人) 7月17日宮台真司氏(社会学者)