下北沢通信

中西理の下北沢通信

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『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村』第130夜「10人で節約フォーク村」@フジNEXT

『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村』第130夜「10人で節約フォーク村」@フジNEXT

ももクロ4人出演回にも関わらず年度末ということもあって、ゲストなし緊縮財政の「節約フォーク村」。予想を超えた豪華なゲストや妹グループの登場もフォーク村の魅力ではあるけれどもももクロメンバーが音楽的にできることも増えているので、年に何回かはレギュラー陣の演奏とメンバーとの交流が見られる回があるのは楽しいし、今回はソロコン*1では披露したことがあっても、ももクロライブでもやったことがないくもちろんテレビでは初公開の高城れに「じゃないほう 」百田夏菜子「わかってるのに」の最新のソロ曲が聴けたというのも貴重な機会だったのではないかと思う。
いつも通りに玉井詩織が歌うTHE ALFEEから始まったが前回の終わりにすでに決めていた楽曲だったのではあるが、1曲目が加藤和彦作曲、高見沢俊彦作詞の「平和について」だったのには考えさせられるものがあった。曲自体は申し訳ないが初めて聞いた。
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THE ALFEEとしてだけでなく、坂崎幸之助が参加して再結成したフォーク・
クルセイダーズとしても加藤和彦と坂崎が歌っているようだから、そういう曲だと考えるべきなのだろうが、今の時期にこの歌を歌う意味はもちろん大きくて、しかもそれを坂崎ではなく玉井詩織が歌うことの意味は小さくはないと思う。続けて坂崎が歌うももクロ曲として選ばれたのが「GOUNN」であったということにも昨今の世界の状況への坂崎の憂慮を感じ取らざるを得ないし、イデオロギー的な反戦歌もフォークにはたくさんあり、フォーク村ではフォークソングの歴史を踏まえてそういうものを歌うこともよくあるのだが、「平和について」はそういう歌でないことが心に響いた。
この日のフォーク村はいつものように既存楽曲のカバーではなく、フォーク村としおこうじのオリジナル楽曲、メンバーそれぞれのオリジナルソロ曲(佐々木彩夏のみは自らが率いる浪江女子発組合の楽曲)で構成された。
 現在のももクロの活動形式だとソロ曲も含めてももクロのライブではあまり披露されることはないし、フォーク村関連の楽曲にいたってはけっこう良曲が揃っているのにもかかわらず配信さえされていなくて、特にいつ以来かもあいまいな「ももいろフォーク村のうた」が聴け、なんと作者も登場したのは嬉しいサプライズであった。
第82夜 第1回『ももいろフォーク村』オーディション(音声のみ) - YouTube
高城れにの歌唱は最近以前と比べると随分安定していて、ピッチが揺らぐようなことは少なくなってきたのだが、今回は相当緊張していたのではないだろうか。しかもソロコンではこの歌はギターの生演奏をやりながら歌うという高いハードルを自らも設けながら、リラックスして声も安定してきた中盤以降に出てきたせいもあり、危なげがないように感じたが、今回は置きに行った声が微妙に震えているように感じた。高城れにの課題は自信のなさから来る過緊張にあるかもしれない。この曲は音域的には彼女の実力を考えればさほど難曲だと思えない。それだけに実力が完全に出し切れてない*2のが惜しまれた。
比較するのは高城れににとって酷かもしれないが、百田夏菜子は本当に安定してきた。この日はとちりもあったし、そういう乱れはなくはないのだが、「多少乱れても何とかなるさ」という安心感はさすが夏菜子というしかない。高城れにはこういうスタジオよりもファンが大勢いる方がいいパフォーマンスができるのかもしれない。
 佐々木彩夏はソロ曲は彼女にとって何の試練でもないことからか、浪江女子発組合の「なみえのわ」をひとりで歌った。とはいえ、浪江の場合、何人かが欠席すると残りのメンバーが欠席メンバーの歌割りを分担して担当する仕組みになっているため、佐々木のソロでの楽曲披露は何の問題もないようだった。そういえば浪江女子発組合は愛来、萌花の演劇出演やAMEFURASSHIのツアーなどでこれまでも残ったメンバーでのライブを行ったことが多々あった。最近ももクロの「春の一大事」のスケジュールとAMEFURASSHIのアルバムのリリースイベントのスケジュールがかぶり、AMEFURASSHIが春一の外周ステージに参加しないことが分かり、AMEFURASSHIの運営を非難する声が一部のファンから上がっていたが、それぞれのグループの活動優先が当然という約束があり、逆に言えば7人欠席でも今回は浪江女子発組合と考えた方がいいのかもしれない。いずれにせよこの日の番組内で次回の放送(4月26日)に浪江女子発組合とukkaの出演も発表され非常に楽しみである。
玉井詩織はソロ曲ではなく「優しい風 」「歌はどこへ行ったの」としおこうじのオリジナル曲2曲を歌った。ソロでの歌唱は未知数の部分もあるけれど、ギターを演奏しながらの坂崎とのデュオは本当に安定していて何の危なげもない。しおこうじの武道館ライブをできるだけ早い時期に実現させてほしい。

セットリスト
M01:平和について (しおりん/THE ALFEE)
M02:GOUNN -ZZver.- (村長/ももクロ)
M03:ももいろフォーク村のうた (ももクロ/番組公式ソング)
M04:同じ月を見ている (ももクロ/番組公式ソング)
M05:じゃないほう (高城れに高城れに)
M06:わかってるのに (百田夏菜子百田夏菜子)
M07:なみえのわ (あーりん/浪江女子発組合)
M08:優しい風 (しおこうじ/しおこうじ)
M09:歌はどこへ行ったの (しおこうじ&ももクロ/番組公式ソング)

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:最近の高城れにの歌は鋭く立ち上がるハイトーンボイスから透明感のある歌声までももクロのなかでもトップ級の実力を感じている。