下北沢通信

中西理の下北沢通信

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6月のお薦め芝居(2022年)by中西理(改稿掲載)

6月のお薦め芝居(2022年)by中西理(改稿掲載)


(復刻版、えんげきのぺーじでおなじみの「お薦め芝居」を復刻)*1

 「お薦め芝居」はコロナ禍で公演中止が相次いだ2020年3月に中断していたが再開することにした。毎月月末ごろまでに次の月のものを掲載する予定。




公演中止が決定!
本谷有希子『マイ・イベント』★★★★(6月9日~29日、小竹向原 SAi STUDIO コモネA)は本谷有希子の注目の新作である。本谷が小説として出版した『あなたにオススメの』を原作に舞台化。二人芝居に仕立て上げた。本谷は2019年に「夏の日の本谷有希子」と銘打ち、11人の出演者とともに約3年ぶりとなる演劇作品 『本当の旅』を上演。小説作品『静かに、ねえ、静かに』の中の一篇で、小説を演劇として再構築することに手応えを感じた舞台となった。
それから3年、今度は昨年末に発表した最新小説を元に、信頼する俳優・黒田大輔安藤玉恵とともに再び本谷有希子の「演劇」を立ち上げる。小説家、劇作家と二足の草鞋をはく本谷が、このふたつをどのようにつなげていくのかについて試金石になっていきそうだ。

出演
黒田大輔 安藤玉恵

照明:吉枝康幸
音響:藤森直樹(Sound Busters)
美術協力:池宮城直美
演出助手:黒瀧保士
舞台監督:鳥養友美
WEB:ACTZERO
制作:寺本真美(ヴィレッヂ)
企画・製作:梅雨の走りの本谷有希子 ヴィレッヂ






悪い芝居『ラスト・ナイト・デイドリーム・モンスター』★★★★(6月2日~12日、新宿シアターTOPS)は同劇団が過去に上演した2作品(「ラスト・ナイト・エンド・ファースト・モーニング」「快物」)を基にして「悲劇」の再構築を試みた作品。本多劇場での連続講演で勢いに乗っている同劇団が今回乗り込むのは本多劇場グループの手で復活した新宿シアターTOPSである。
新宿シアターTOPSといえば東京サンシャインボーイズのロングラン公演をはじめ、様々な人気劇団が覇を競った劇場だが、公立劇場全盛の昨今の現代演劇の世界であえて本多劇場、新宿シアターTOPSという80~90年代小劇場の聖地を公演会場に選ぶというところにも悪い芝居の反骨精神を感じる。それ以上に山崎彬は現在もっとも注目すべき演劇作家のひとりだと思う。






 東京公演はすでに終了したがくじら企画『サラサーテの盤』★★★★(6月3日~6月5日、大阪in→dependent theatre 2nd)は6月のイチ押し舞台だ。「サラサーテの盤」は大竹野正典が犬の事ム所時代に今はなき扇町ミュージアムスクエアで初演。この初演時は舞台を見ている。その後、くじら企画として再演を行ない、大竹野の没後、追悼企画でも上演されている。
 表題の通りに内田百聞の短編小説「サラサーテの盤」が原作だが、実はそれをそのまま舞台化したものというわけではない。「サラサーテの盤」を核に内田のいくつかの小説・随筆からの抜粋をコラージュして再構成したような内容となっており初演時に三十代だった大竹野にそんな意識がどこまであったかは疑問だが、作品全体が「老いと死」というモチーフで覆われており、出演者の年齢も実際に老境に差し掛かりつつありこともあり、コロナ禍以降の現在上演されることで表現された劇世界のリアリティーは一段と増していると感じさせられた。
 「サラサーテの盤」といえば鈴木清順の映画「ツィゴイネルワイゼン」の原作であることがあまりにも有名。映画好きの大竹野は映画にオマージュした作品も多いが、実はこの「サラサーテの盤」は映画を見る前に構想されたもので、映画とは無関係という。映画を知る人はそのことを念頭に置いて、比べてみるのも一興かもしれない。 

くじら企画「サラサーテの盤

2022年6月3日(金)~5日(日)
大阪府 in→dependent theatre 2nd

作・演出原案:大竹野正典
演出:くじら企画
出演:戎屋海老、秋月雁、九谷保元、栗山勲、大竹野春生、柴垣啓介、オットー高岡、小栗一紅、林加奈子、森川万里、ふくいあかね、後藤小寿枝






左から山田百次、成田沙織、井上みなみ。
ホエイ『ふすまとぐち』★★★★(5月27日~6月5日、こまばアゴラ劇場)が5月のイチ押しであることは間違いないであろう。山田百次が野の上で上演した方言演劇を満を持してホエイで再演。元渡辺源四郎商店の三上晴佳、青年団の井上みなみ。ホエイの常連の成田沙織らが終結。どんなアクの強い舞台が出来上がるのか!!。期待したい。

姑キヨの強烈な嫁いびりにより、とある場所に引きこもって暮らしていた桜子。
出戻りの義理の妹、幸子には心許せると思い、ようやくそこから出てきたが、事態はエスカレートしあらぬ方向へと突き進む……。
嫁、姑、小姑、さまざまな業がうずまく津軽弁エンターテイメント!!
劇団野の上(作・演出:山田百次)で2010年初演、2012年に全国ツアー(青森・札幌・大阪・三重・東京)を敢行した人気作。
2021年12月の豊岡公演を経て、いよいよ東京へ!

出演
山田百次(ホエイ|劇団野の上) 赤刎千久子(ホエイ)
井上みなみ(青年団) 中田麦平(シンクロ少女) 成田沙織 三上晴佳 森谷ふみ(ニッポンの河川)

スタッフ
舞台美術:鈴木健
照明:黒太剛亮(黒猿)
照明操作:間瀬森平
舞台監督:鐘築 隼
舞台監督補:三津田なつみ
衣裳:正金 彩
制作:赤刎千久子
当日運営:飯塚なな子
プロデュース・宣伝美術:河村竜也




 
 お薦め芝居。とりあえずブログ「下北沢通信」で展開中だが、もし掲載可能なメディアがあればぜひ載せてほしいので、連絡をお願いしたい。
 演劇・ダンスについても書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)も鋭意募集中。相談はメール(simokita123@gmail.com)でお願い。ブログに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団があればそれも大歓迎。メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けます。新規劇団発掘にも力を入れています。招待メールなどいただければ積極的に観劇検討します。

 大劇場中心のお薦め芝居紹介サイト*2発見したが、全然重ならない。見落としがないようにチェックしたいのだが、どこか適当なサイトがないかしら。関田育子の公演見逃してしまった。最近チケット代にかけられるお金があまりなくて、妻からの締め付けも強いので、招待状をいただける劇団があると本当にありがたい。





中西