下北沢通信

中西理の下北沢通信

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トリコ・A「へそで、嗅ぐ」@こまばアゴラ劇場

トリコ・A「へそで、嗅ぐ」@こまばアゴラ劇場

上演台本・演出:山口茜
ドラマトゥルク:ウォルフィー佐野
【あらすじ】
古家隆子は、小さな町にある小さなお寺で、両親と共に暮らしている。彼女の定位置は大きな松の木のある庭に面した縁側。ある時は父の読むお経とともに、ある時は縫い物をする母とともに、彼女の毎日は過ぎていた。ある日、父が倒れ、お寺に妹一家が引っ越してくることとなった。看病で不在となった母の代わりに、隆子のもとにはヘルパーが派遣され、父の不在でにわかに権力を持った住み込みのバイトに友人の出入りを制限されてしまう。隆子の環境は本人のあずかり知らぬところでどんどんと変化していくが、隆子はただそれを、受け入れていた。ヘルパーが口を出すまでは・・・。


【演出コメント】
2018年に障がいを持つ方とワークショップをさせていただいた時、みなさんが、障がい者としてではなく、1人の俳優として創作に参加したいと思っておられることを知りました。そして私自身、俳優を目指していた頃に、自分のままで俳優として必要とされることは難しいと感じ、ダイエットをしたりと、本来の俳優としての訓練ではない努力をしていたことをふと思い出したのです。そして過去の私を救うためにも、障がいを持つ人が、世間の決めた「属性」で判断されることなく、俳優訓練に邁進できる場を設けたいと思ったのです。
2021年、関西での初演を終えて、環境から障がいを取り除くことの難しさや、自分の無知や狭量さを思い知りました。手を差し伸べるつもりで取り組んだ公演で、奇しくも私は私の無力さと向き合うこととなったのです。
今回の公演では、前回の稽古場や本番で私の中に起きた現象を、物語の中に取り入れたいと思います。へそで、嗅ぐとはどういうことなのか。今も答えの出ないこのタイトルの意味を、是非確かめにおいでください。

山口茜

トリコ・A
山口茜が手掛ける劇作および演出作品の上演を目的に、公演の都度、出演者・スタッフを集めて活動する。東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズ、精華小劇場オープニングイベント、大阪芸術創造館クラシックルネサンス、愛知県芸術劇場演劇祭、アトリエ劇研演劇祭、文化庁芸術祭などに参加。近年はアクセシビリティサービスとして、無料の託児サービス、聴覚障害の方のための字幕サービスなどを実施。今後、音声ガイド等取り扱うサービスを広げていきたいと考えている。




出演
豊島由香、福角幸子、高杉征司、芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子、中筋和調、温井茜
★トリコ・A『へそで、嗅ぐ』出演者変更のお知らせ
出演を予定しておりました豊島由香は、体調不良に伴い、降板いたします。
豊島に代わり、上演台本・演出の山口茜が出演いたします。
スタッフ
舞台監督:下野優希
舞台美術:竹内良亮
音楽:茂木宏文
照明:池辺茜
音響:森永恭代
衣裳:清川敦子
宣伝デザイン:山口良太(slowcamp)
宣伝イラスト:渡部真由美
宣伝写真:松本成弘
演出助手:田中遙
制作:合同会社syuz’gen、合同会社stamp
撮影協力:京都市メディア支援センター