下北沢通信

中西理の下北沢通信

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AKB48「RIVER」、≠ME「まほろばアスタリスク」、日向坂46「キュン」 スタプラアイドルの手で生歌披露 浪江女子ライブあーりんの手法も参考に 東京やかんランド vol.2@原宿RUIDO

東京やかんランド vol.2@原宿RUIDO

 川上アキラがプロデュースする新たなライブシリーズ。近々大きなライブ会場に移動して、スターダストプラネットキラーコンテンツになりうるとvol.1の時に予言した*1のだが、今回のvol.2を見てそのことを確信した。vol.1同様に寸劇+ライブの構成は変わらないのだが、フォーク村やGirls Factoryのようなきくち発信の音楽イベントやももクロの「白秋」などとの違いを明確にするためもあってかアイドル色をより濃く打ち出していて、スタプラDD的や一般のアイドルファンに対する訴求力がより高いものとなっていた。
 クレジットなどでは明らかになっていないが、構成台本と演出を担当しているのはおそらく構成作家のサービスカード高柳氏。ライブ全体の作り方が彼が佐々木彩夏(あーりん)と手掛けた浪江女子発組合の明治座公演と非常に似通っており、そうではないかと考えていたのだが、twitterで非公式と断りながらもセットリストを明らかにしていることからおそらく間違いない。
 特に今回はオープニングがAKB48「RIVER」、≠ME「まほろアスタリスク」、日向坂46「キュン」と集団で歌う典型的な正統派アイドル曲を3連発で畳みかけてきており、アイドル楽曲好きの観客はこれだけで「これは神イベント」と確信したのではないか。
 女子アイドルの王道曲だけにとどまらず、4曲目にはSMAPの「青いイナズマ」を持ってきて、今ブレイク中のAMEFURASSHIの小島はなをメインボーカルのひとりに据え、舞台上手方向に設営された女子エリアからはざわつきが起こり、それは会場全体に広がった。今回の「東京やかんランド」では小島はなはソロでMs.Green Appleダンスホール」をカバーしたのだが、圧倒的な歌唱力とカッコよさで会場の特に女性陣をくぎ付けにしてみせた。これは本当に素晴らしかったからぜひどこかで再演してほしい*2

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 曲目ではFRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」、Famme fatale「だいしきゅー だいしゅき」と昨年末のももいろ歌合戦アイドルメドレーでも取り上げられた曲目もカバーされた。そのせいで全体にあーりん色も感じたのだが、さすがに短期間に3つのライブを手掛けており、さらにAYAKARNIVALも控えているあーりんが関与している可能性は限りなく低い。あーりんIZMを継承してのドルオタ高柳の構成もあろうが、ひょっとしたら今回ラジオパーソナリティー役を演じていた春名真依とは「やかんとアイドル」でもラジオ風配信を一緒に手掛けるなど関係が深いのでアイドル好きでその分野に造詣の深い彼女からも意見を聴いていた可能性もある*3
 今回は初めての試みとしてスターダスト以外のアイドルグループから花音(九州女子翼)が参加したが、ソロで歌ったZONE「secret base ~君がくれたもの~」も含め本当にいい持ち味を出していた。この日の観客に「女子翼に花音あり」の強い印象を刻み付けたのではないかと思う。
 最後に9月にvol.3の予定が発表されたのだが個人的に嬉しくて快哉を叫んだのはその中にexたこ虹の堀くるみの名前があったこと。彼女の場合、関西で週一のテレビレギュラーがあることもあり、「やかんとアイドル」にも登場せず、これまではスタプラとの関係はあまり表面化せず、一線を画しているのかなと考えたこともあったのだが、ひさびさに歌が聴けるとすれば本当に嬉しい*4

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<出演者>
内藤るな/播磨かな/安杜羽加/里菜/葵るり/小島はな/田中咲帆/春名真依
花音(九州女子翼)

2023年6月6日(火)
原宿RUIDO
open 18:30 / start 19:00

全自由 ¥4,500 (税込・入場時別途ドリンク代)
女性 ¥2,000 (税込・入場時別途ドリンク代)

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*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:ももいろ歌合戦かあるいはそれ以前にフォーク村で。小さい会場で配信もないので本当にもったいない。逆に言えばこれだけでも元がとれたファンもいるはず。

*3:彼女の役名の春日真依のネーミングはオードリーのラジオが好きな春日へのほぼあてがき。コンビを組むレポーターの姓が若林なのもそこへのオマージュだった。

*4:とはいえ、今回の評判がいいとますますチケットの争奪戦は激しくなりそうで、それが懸念材料でもある。