下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

『シアターアーツ』「2023AICT会員アンケート」

『シアターアーツ』「2023AICT会員アンケート」


4月発行予定のAICT(国際演劇評論家協会)日本センター『シアターアーツ』(晩成書房)68号に掲載される「2023AICT会員アンケート」に参加。




■優れていた作品(5本、順位あり)
(1) ムニ『ことばにない 後編』こまばアゴラ劇場
(2) 悪い芝居 第一幕ふぁいナル公演『スーパーふぃクション ふぉーエヴァー』新宿シアターTOPS
(3) 20歳の国 『長い正月』こまばアゴラ劇場
(4) 笑の内閣『ゴメラの逆襲 大阪万博危機一髪』こまばアゴラ劇場
(5) ぱぷりか『柔らかく搖れる』こまばアゴラ劇場

■優れていたアーティスト(3名まで)
○宮崎玲奈(劇作家・演出家/ムニ)
○山崎彬(劇作家・演出家/悪い芝居)
○石崎竜史(劇作家・演出家/ 20歳の国)

■新人アーティスト
河井朗(劇作家/ルサンチカ)

■年間回顧(400字程度)

 今年の演劇界を振り返ってみた時に上演時間9時間近い超大作として同性愛者に対する社会的な抑圧を描いたムニ『ことばにない』を完結してみせた宮崎玲奈の仕事を無視することはできないだろう。宮崎は昨年上期に解散した青年団演出部の所属であったが、同部で彼女の先輩格で先行して岸田戯曲賞を受賞した福名理穂が受賞作を再演したぱぷりか『柔らかく搖れる』も特筆すべき好舞台であった。青年団演出部の解散に続いて、その本拠地であったこまばアゴラ劇場も5月で閉鎖されることが発表されたが、同劇場からは昨年も多くの秀作が生まれていただけに日本の現代演劇において大いなる損失だといえるだろう(優れた作品で取り上げた5作品のうち4作品が同劇場で上演された舞台であることはけっして偶然ではない)。こうしたことを踏まえると昨今の現代演劇を推進してきた大きな流れが終わり、ひとつの時代が終わったと言わざるをえないかもしれない。
 こまばアゴラ劇場の閉鎖ほどは大きな出来事ととらえられることはなかったとしても悪い芝居が第一幕ふぁいナル公演と銘打った公演で事実上の活動休止にいたったのも個人的には大きな出来事だった。

■年間の観劇本数
約100本