下北沢通信

中西理の下北沢通信

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木ノ下歌舞伎「勧進帳」@横浜KAAT

木ノ下歌舞伎「勧進帳」@横浜KAAT

監修・補綴|木ノ下裕一
演出・美術|杉原邦生[KUNIO]
出演|リー5世, 坂口涼太郎, 高山のえみ, 岡野康弘, 亀島一徳, 重岡漠, 大柿友哉

上演時間|約80分[途中休憩なし]

 2018年3月1日[木]~2018年3月4日[日]
 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ


歌舞伎十八番の一つである『勧進帳』は、 上演頻度の高さからもその人気が伺える、 歌舞伎の代名詞的演目です。
木ノ下歌舞伎では2010年に杉原邦生[KUNIO]の演出・美術で初演した後、満を持して2016年に完全リクリエーション版として再上演。監修・補綴の木ノ下裕一がその成果に対して平成28年文化庁芸術祭新人賞を受賞するなど、高い評価を得ました。
一般的に「義経一行の関所越えを描いた忠義の物語」とされる勧進帳を、〈関所=境界線〉として読み解き、国境・現在と過去・主と従・観客と舞台…… といった現代社会を取り巻くあらゆる〈境界線〉が交錯する、 多層的なドラマへと再構築したキノカブ版『勧進帳』。

 木ノ下歌舞伎は同じ作品でも再演を繰り返す中で改作に改作を繰り返して、洗練の度合いを高めていく。「勧進帳」を見るのは一昨年の豊橋での上演以来で、その時とはほぼ演出、キャストともに大きな改変はないのかもしれないが、主題である義経と弁慶の主従の思い、富樫と弁慶の間にあるある種の共感、それがすべて安宅関というこの場で一瞬の交錯をして、またそれぞれの運命へと別れさって行く。このせつなさが木ノ下歌舞伎版の「勧進帳」ならではの魅力であろう。
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