「トヨタコレオグラフィーアワード2005"nextage" (2日目)」(世田谷パブリックシアター)を見る。
1新鋪美香 振付[ほうほう堂] 「るる ざざ」 23分
照明:大迫浩二 音響:牛川紀政
初演 2004年10月 STスポット
出演:新鋪美香、福留麻里
休憩11分
2岡田智代 振付「ルビィ」 22分
照明:三浦あさ子 音響:大久保友紀 衣装:北村教子
初演 2004年11月 神楽坂die pratze
ダンサー:岡田智代
休憩6分(転換)3岡田利規 振付[チェルフィッチュ] 「クーラー」 22分
テキスト:岡田利規 照明:木藤歩 音響:荒木まや
初演:2004年8月 京都・アートコンプレックス1928
出演;山崎ルキノ、山縣太一
休憩10?分4宇都宮忍・戒田美由紀・合田緑・高橋砂織・得居幸・三好絵美 振付
「kNewman」 30分
照明デザイン:森規幸[balance,inc] 音響オペレート:水谷雄治[アンテナ]
衣装:岡田ゆかり[NATUR]
初演 2004年4月 松山市民会館
出演:yummydance5授賞式
この日見た4本のなかではチェルフィッチュ「クーラー」が抜群に面白かった。小空間(アートコンプレックス1928)では以前に見ていた作品ではあるが、大空間ではどうなるのかと思っていたが、前に見た時には割りと素明かりに近いような照明だった印象があったのが、今回は場内全体を暗くしたなかでピンスポットを2人のパフォーマーに当てるなど空間造形のうまさにも感心させられた。
yummydance「kNewman」も同じ時にアートコンプレックスで見た作品だが、その時と比べると格段の進歩。振付という意味でも複数の振付家が参加している集団だけあったなかなかにヴォキャブラリーが豊富で見るべきところが多い作品であった。ただ、残念なのはひとりの演出家がすべてを決めるという体制ではないせいか、空間構成とかでは粗が目立ち、それで少し舞台全体のめりはりが不足しているというか、バラバラ感がただよって、散漫な感じがどうしても否めなかったことだ。
岡田智代はいい味を出したソロ作品でありこの年齢だからこそ作れる作品だとも思い好感はもったが、コレオグラフィーの独立性やオリジナリティーという面からいえば賞には難しいかと思った。
一番、判断に苦しんだのはほうほう堂。悪くはないのだけれど、突出していいともいい難く、ムーブメントにおけるオリジナリティーがあまり感じられないのが難で、キネティックボキャブラリーも数が少し不足しているのではないだろうか。途中見せたデュオの片方が相手に接触していた形で静止し、もうひとりがそこから抜け出すことを交互に連続して行う振付などは以前にCRUSTACEAの濱谷由美子がまったく同じパターンの振付を見た記憶があるから、木佐貫邦子の直伝なんじゃないと思っているのだが、ほかにもそういうのがいくつか垣間見られることから、まだこの2人は本当の意味でのムーブメントのオリジナリティーを獲得はしていないのではないかという気がした。
ただ、ここも最初に見たときと比べると格段な進歩が見られ、昨年と比べても明らかにデュオとしての成長の跡が見え、今後が楽しみな存在であることは確かだ。もっとも、賞をという視点で考えると線が細いところがあると思われた。
オーディエンス賞は元々、今回はyummydanceの応援モードで来ていたのとその期待にはよくこたえてくれたとの理由から宇都宮忍・戒田美由紀・合田緑・高橋砂織・得居幸・三好絵美に投票。ただ、アワードの予想に関しては私が選ぶなら今年は間違いなく、岡田利規と考えながら、授賞式に臨んだ。