ぶんげいマスターピースvol.2「三人姉妹」(京都府立文化芸術センター)を観劇。
作:アントン・チェーホフ
演出:ごまのはえ(ニットキャップシアター)
キャスト
大木湖南/尾方宣久/岡部尚子/キタモトマサヤ/高澤理恵/長田美穂/長沼久美子/日詰千栄/平岡秀幸/F.ジャパン/安田一平/弓井茉那今は亡き父親に連れられモスクワからこの地に移り住んだオーリガ(cast:日詰千栄)、マーシャ(cast:長沼久美子)、イリーナ(cast:岡部尚子)の三人姉妹。物語は彼女らの暮らす町にモスクワから砲兵隊長ヴェルシーニン(cast:平岡秀幸)が赴任してくるところからはじまる。
長女のオーリガは結婚を願いながらも独身で、学校の教師をしている。次女のマーシャは地元の教師クルイギン(cast:大木湖南)と結婚しているが、その生活は満たされないものだった。三女のイリーナは「働かなくては」と言いながらも、生まれ故郷のモスクワに行くことを夢みている。そしてもう一人の兄弟アンドレイ(cast:安田一平)は、モスクワの大学教授を目指していたが、今はその希望もはかないものになり始めていて、この土地の娘ナターシャ(cast:弓井茉那)に恋をしている。
彼らは広い邸宅に召使いのアンフィーサ(cast:長田美穂)、使い番のフェラポント(cast:高澤理恵)などに囲まれ生活している。
今は亡き父親が軍人だったこともあり、三人姉妹の家には沢山の軍人たちが出入りする。老軍医チェプトイキン(cast:キタモトマサヤ)は始終酔っ払っており、今や学んだことはすべて忘れたと広言するありさま。男爵と呼ばれるトゥーゼンバフ(cast:F・ジャパン)は誠実な人柄でイリーナに求愛をする。その友人ソリョーヌイ(cast:尾方宣久)は周囲を白けさせる嫌われ者だった。そして新しい砲兵隊長ヴェルシーニンに、マーシャは惹かれはじめていた。
地点が四大戯曲の連続上演をスタートさせたことがきっかけになったのか、関西でもチェーホフの上演が増えてきているようだ。ごまのはえ演出で小劇場の役者たちを集めたプロデュース公演である今回の「三人姉妹」もそうだが、この後も兵庫県立ピッコロ劇団が松本修の演出による「桜の園」を上演、来年2月のメイシアタープロデュースでは「チェーホフ 三人姉妹」を最近は演出家としての活動も目立ってきている桃園会の深津篤史が演出する。
そんななかでニットキャップシアターのごまのはえが演出するので「どんなチェーホフになってしまうのだるう」と若干の危惧も抱きながら見にでかけたのだが、あにはからんや、舞台を宇宙の植民惑星に移すとか一見奇をてらったような作りでありながら、全体の印象は実は意外と正統派のチェーホフという印象で感心させられた。