劇団チョコレートケーキ「熱狂」@池袋・東京芸術劇場
【キャスト】※五十音順
『熱狂』
アドルフ・ヒトラー 西尾友樹
リヒャルト・ビルクナー 浅井伸治
(以上、劇団チョコレートケーキ)ヨーゼフ・ゲッペルス 青木シシャモ(タテヨコ企画)
エルンスト・レーム 大原研二(DULL-COLORED POP/TOHOKU Roots Project)
グレゴール・シュトレッサー 佐瀬弘幸
ヘルマン・ゲーリング 中田顕史郎
道井良樹(電動夏子安置システム)
ハインリッヒ・ヒムラー 山森信太郎(髭亀鶴)
ヴェルヘリム・フリック 渡邊りょう(悪い芝居)
アドルフ・ヒトラーを中心に若きナチス幹部らを描いた群像劇。ミュンヘン蜂起が失敗に終わり、罪びととして裁かれる法廷での裁判から始まり、大衆の圧倒的な支持を得ながらナチスが政権を獲得していくまで描かれる。独裁政権というのは往々にして国民の熱狂に支えられて誕生する。
ヒトラーらの演説の際のパフォーマンスやレトリック、さらにいえばファッションや立ち居振る舞いその後の歴史的な経緯を知ったうえで見れば「あのナチス」」ということになるが、彼らには一般のドイツ国民からすれば惹かれていくのがおかしくない魅力もあったことがこの舞台を見ると感じられる。
ナチスドイツの引き起こした最大の罪であるユダヤ人の虐殺(ショア)は今回2本立てで上演されたもう1本「」で描き出されるが、この「熱狂」だけを見るとドイツ復興の理想に燃える彼らのどこが間違ったのかということは判然としない。ちょっとした勇み足に過ぎないなどと見えかねないのが恐ろしいところだ。