第63回岸田國士戯曲賞最終候補作品決定
第63回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が、2019年3月12日・火曜日、午後6時30分より東京神保町・學士會館にて行なわれます。
選考委員は、岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫、柳美里の各氏(五十音順、敬称略)です。
本年度の最終候補作品は下記の8作品となっております。
株式会社 白水社
第63回岸田國士戯曲賞最終候補作品一覧(作者五十音順、敬称略)
坂元裕二『またここか』(リトルモア刊)
詩森ろば『アトムが来た日』(上演台本)
瀬戸山美咲『わたし、と戦争』(上演台本)
根本宗子『愛犬ポリーの死、そして家族の話』(上演台本)
古川日出男『ローマ帝国の三島由紀夫』(『新潮』2018年10月号掲載)
松原俊太郎『山山』(『悲劇喜劇』2018年7月号掲載)
松村翔子『反復と循環に付随するぼんやりの冒険』(上演台本)
山田百次『郷愁の丘ロマントピア』(上演台本)
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今年の受賞作品予想としては私の個人の2018年演劇ベストアクト1位に選んでいる山田百次(ホエイ、青年団演出部)の「郷愁の丘ロマントピア」が最終候補作に選ばれた時点でこれ1択といっていい。
ただ、山田とモメラスの松村翔子はどちらも青年団演出部であり、最終的にこのどちらかが受賞作を争う状況になったら、平田オリザはどちらも押しにくく不利な条件はあるかもしれない。松村翔子はフェスティバル「これは演劇ではない」で上演されたモメラス『28時01分』は本当に戯曲・演技・演出ともに素晴らしい作品でこれが選ばれたのであれば最有力候補といいたいところだったが、この『反復と循環に付随するぼんやりの冒険』は個人的な印象では???と考えている。考えてみると松村翔子はチェルフィッチュの出身俳優でもあり、岡田利規にとっても身内感ないとはいえず、それを有利、不利などと考えたら、やってられないかもしれない。
ここ数年の審査過程を見ていくと女性の岸田戯曲賞受賞を出せるのかというのがひとつの課題となっており、今年も松村を含め、詩森ろば、瀬戸山美咲、根本宗子と4人がノミネートされている。この中から誰か受賞者を出せるのかというのがもうひとつの注目点であろう。地点で作品が上演されたこともあり、支持者の多い、松原俊太郎『山山』がどのように評価されるのかというのにも注目したい。
テレビドラマの脚本家として知られる坂元裕二、小説家の古川日出男が入っているのには話題にされることで受賞者の幅を広げたいとの白水社側の意図が透けて見えはするが、あまりピンとこないことも確かだ。