下北沢通信

中西理の下北沢通信

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有安杏果 Pop Step Zepp Tour 2019東京1日目@Zepp Tokyo

有安杏果 Pop Step Zepp Tour 2019東京1日目@Zepp Tokyo

公演日 2019年7月22日(月)
会場 Zepp Tokyo
券種・料金 1F全自由 ¥7,020(税込) / ¥6,500(税抜)
2F着席指定席 ¥7,560(税込) / ¥7,000(税抜)
開場時間/開演時間 18:00 開場 / 19:00 開演
出演者 有安杏果
★Band Member
G:福原将宜 / B:山口寛雄 / Dr:玉田豊夢 / Key:宮崎裕介

セットリスト (セトリ)


1.ヒカリの声
2.TRAVEL FANTASISTA
3.ハムスター
4.色えんぴつ
5.若者のすべて [フジファブリック]
6.心の旋律
7.小さな勇気
8.Last Scene
9.Do you know
10.遠吠え
11.愛されたくて
12.虹む涙
13.Catch Up
アンコール
14.逆再生メドレー
15.夏想い

 有安杏果のライブを武道館以来ひさびさに見ることができた。歌、楽器演奏ともに進歩は著しく、このレベルのライブをツアーとして行うことはももクロに所属したままでは無理だったということがはっきりと分かった。
 音楽の方向性における好き嫌いはあってしかるべき*1だが、現在の杏果のライブを見ないでどうこう言っているかつてのファンはもう黙った方がいいのではないか。ここではもうそういう人たちが想像しているのとはまるでレベルの違うライブパフォーマンスが行われている。
 杏果は慎重な性格なので、ソロコンや復帰ライブのサクライブではまだ音を置きにいくようなところがあった。それが今回のライブでは「遠吠え」などはその典型だが、超絶技巧のバンドとやり合うようにフェイクを入れまくるなど丁々発止のやりとりで音楽を楽しんでいることが小さな身体いっぱいに表現されていた。そして、こうなれた時のこの人の存在感は凄いとしかいいようがない。グループ時代にも時折はそういう瞬間はあったが、アンサンブルを重視してリミッターをかけていた部分はあった。そして、それも彼女の担った重要な要素であり、そこで発揮される魅力があったのも確かだ。そうしたリミッターを実はソロでも自らに無意識にかけていたが、それが取り払われてきている今、次のステージに進みつつあるのは間違いない。

 この日初めて披露された「Last Scene」「Do you
know」の2曲と合わせ、この日は4曲ソロになって以降の楽曲が演奏された。曲のバラエティーに広がりができてきたなと感じたが、このツアーでは他の会場でも新曲が発表されているから、この日一度に2曲というのには驚いた。新たなレコード会社との契約がなければ配信という形になるかもしれないものの新アルバムのリリースも秒読み段階であってもおかしくないと思う。ここからはまだまだ妄想に近いがツアーファイナルのライブで新アルバムの発売と新たなレコード会社との契約が同時に発表となるサプライズがあったとしても決して不思議ではない。
 こんなことを考えるようになったのは私はこの日が初めての参戦だから詳細は分からないのだが、このツアーのセットリストの組み方に不思議さを感じる部分があるからだ。実はこのツアーの中で杏果は何曲か新作を発表しているのだが、どうやら会場ごとに別の曲を用意しているようなのだ。そうなのに1曲づつとかではなく、この日一気に2曲出してきたのはまだ未発表曲がかなりあるからなのではないか。ツアーファイナルでは新曲だけをつないで同時にアルバム発表などという筋立ても脳裏に浮かんだがさすがにそれはないか。
 今回のツアーではかならず1曲づつライブ会場ご当地にちなんだカバー曲が歌われることになっているのだが、この日歌われたのは「若者のすべて」。フジファブリックの名曲だが、杏果にとってはBank bandミスチルの櫻井さんが歌った歌なのかもしれない。とはいえ、先日、エビ中のフェスで聴き思わず涙した曲なので、やはり杏果卒業後のいろんなことを投影してしまう。フォーク村の時から杏果のカバー曲が大好きだったからカバーをやってくれるのは嬉しい。ツアーで他にどんな曲が飛び出すか。楽しみだ。

Bank Band - 若者のすべて (フジファブリックのカバー ) - ap bank fes 11 LIVE

*1:ももクロの音楽と有安杏果の音楽は全然音楽としての志向性が違う。このことはソロコンで曲を委嘱したアーティストの顔触れを見れば一目瞭然で明らかである。