下北沢通信

中西理の下北沢通信

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うさぎストライプ『いないかもしれない』@観劇三昧無料配信(6月6日まで)

うさぎストライプ『いないかもしれない』@観劇三昧無料配信(6月6日まで、それ以降有料)

前田敦子主演のNHKドラマ「伝説のお母さん」の共同脚本(玉田真也と共作)を務めたうさぎストライプの大池容子は青年団演出部では一見委員長的存在の優等生に見える。ただ、その作品世界は毒や悪意にも満ちていて一筋縄ではいかないのである。
 平田オリザ流の群像会話劇も多田淳之介の影響を感じる、より身体表現要素が強い演劇もどちらもこなす器用さがあって、今回無料配信する『いないかもしれない』は以前、それぞれ演出プランの違う「 静ver.」「 静ver.」の二本立てで行われたのだが、今回は両者を統合した新演出となった。
 「いないかもしれない」は、4月に上演を予定していたものの、新型コロナウイルスの影響で公演中止となった作品。観客を入れての公演は中止となったが、無観客での上演を映像として収録、観劇三昧のサイトにて配信することになった(6月6日まで無料配信)
 小学校時代に起こったいじめと美術室放火事件がメインモチーフだが、一番の魅力は登場人物の関係性が生み出すひりひりとした空気感。そこに居合わせてはいけない場所に突然放り込まれてしまったかのうようないたたまれなさは配信の映像を通しても存分に感じ取ることができはするけれど、詮無いことではあるけれども、こういう種類の舞台はやはり劇場で生で見たかった。それでも、完成した舞台を公演は中止になっても映像という形で残し、無料配信することにしたという今回の決断は勇断だったと思う。
 

キャスト

佳奈  宮城嶋遥加(SPAC)
とも子 清水緑
吉岡  木村トモアキ(青年団
小田島 浦田大地
女   北川莉那
長谷川 赤刎千久子(ホエイ)
須藤  芝博文
道子  菊池佳南(
(うさぎストライプ/青年団

スタッフ
作・演出:大池容子/舞台監督:杉山小夜/舞台美術:新海雄大/照明:黒太剛亮(黒猿)/照明操作:佐野瑛美香(黒猿)/音響:泉田雄太/小道具:陳彦君/制作:金澤昭(うさぎストライプ)/宣伝美術:西泰宏(うさぎストライプ)/芸術総監督:平田オリザ/制作協力:木元太郎(アゴラ企画)/技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)/企画制作:うさぎストライプ・(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場/主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場/協力:青年団・SPAC・ホエイ・(有)レトル・(有)is・黒猿・松田桂一・緒方稔記/助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)・独立行政法人日本芸術文化振興会/ 撮影:2020年4月3日(金)/会場:こまばアゴラ劇場/ 映像監督:大池容子・西泰宏/撮影・録音・編集協力:久保田誠/映像編集:西泰宏/音声編集:泉田雄太

あらすじ

小学生の頃、いじめられていた女が見違えるように綺麗になって同窓会の二次会に現れた。しかし、そこには見知らぬ女がおり、自分もクラスメイトだと言って二次会に参加する。やがて彼女は、誰も触れたがらないそれぞれの過去について話し始めた。

作品について:2012年、青年団若手自主企画としてアトリエ春風舎で初演を迎えた『いないかもしれない』。2015年にこまばアゴラ劇場で再演し、静かな演劇の手法を用いた<静ver.>と、うさぎストライプ初期の手法を用いた<動ver.>の二部作として上演を行なった。今回の2020年バージョンは静と動、両方の要素を合わせ持った《完全版》です。

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