下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』@梅田芸術劇場 メインホール(配信)

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』@梅田芸術劇場 メインホール(配信)

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萩尾望都の漫画「ポーの一族」の舞台化である。宝塚歌劇団花組が2018年1月 - 3月に宝塚大劇場東京宝塚劇場で初演。その時主役のエドガー役を務めた明日海りおが宝塚退団後、初のミュージカル作品として、アラン役に千葉雄大を迎えて、梅田芸術劇場 メインホールで宝塚以外での初の上演。配信を見ることができた。
ポーの一族」は「トーマの心臓」と並ぶ萩尾望都の二大代表作のひとつ。「トーマの心臓」の方は金子修介が「1999年の夏休み」と題して翻案、映画化したほかStudio Lifeが幾度にもわたって舞台化をしている。これに対して「ポーの一族」の舞台作品化は理由は不明だが、萩尾がなかなか許可を出さず、30年近くにもわたる演出家の小池修一郎の交渉の挙句、宝塚歌劇団が上演許可を得て舞台化にこぎつけ、演出家の小池は外部での上演にもこぎつけた。
 舞台を見て驚いたのはアラン役の千葉雄大の好演だった。テレビでは何度も見ているが舞台での姿を見たのは初めてだ。宝塚の元トップが演じるアランに対すれば舞台経験の差などから位負けしてもおかしくないのに歌も含めて堂々と渡り合っていたことに驚いた。
宝塚でなくても日本の現代演劇の場合、女優が少年を演じるというのはポピュラーな表現になっていて、一種の様式美として成立しいている部分はあるが、その分逆に男優が少年役、しかも美少年役を演じるというのはかなりハードルが高いはずだ。それを軽やかに乗り越えてしまっているのは相当なものである。
 一方、明日海りおのエドガーは原作のファンであるゆえに最初違和感を感じたのだが上演を見ているうちに次第にそれを感じなくなっていった。彼女自身の実力もあるが長年にわたって、こうした役柄を演じ続けてきた宝塚歌劇団の伝統の継承の力といえるかもしれない。演技体としてはエドガーがアクが強くて、アランは少し線が細いのだが、役柄から言えばそれがニンに合っているから、なかなかよい配役だったのではないかと思う。

2021年1月11日(月・祝)~26日(火)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

2021年2月3日(水)~17日(水)
東京都 東京国際フォーラム ホールC

原作:萩尾望都ポーの一族」(小学館「フラワーコミックス」刊)
脚本・演出:小池修一郎

キャスト
エドガー・ポーツネル:明日海りお

アラン・トワイライト:千葉雄大

フランク・ポーツネル男爵:小西遼生
ジャン・クリフォード:中村橋之助
シーラ・ポーツネル男爵夫人:夢咲ねね
リーベル綺咲愛里
大老ポー / オルコット大佐:福井晶一
老ハンナ / ブラヴァツキー:涼風真世

ジェイン:能條愛未
レイチェル:純矢ちとせ

(以下、男女五十音順)石川新太、大井新生、加賀谷真聡、鍛治直人、鯨井未呼斗、酒井航、高橋慈生、新原泰佑、西村清孝、松之木天辺、丸山泰右、武藤寛、吉田倭大、米澤賢人 / 伊宮理恵、桂川結衣、木村晶子、多岐川装子、田中なずな、笘篠ひとみ七瀬りりこ、花岡麻里名、濱平奈津美、蛭薙ありさ、美麗

※濱平奈津美の「濱」は異体字が正式表記。

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