下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ハナズメランコリー(HANAʼ S MELANCHOLY)「春のめざめ」(翻訳版)@渋谷ギャラリールデコ

ハナズメランコリー(HANAʼ S MELANCHOLY)「春のめざめ」@渋谷ギャラリールデコ

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「春のめざめ」は劇団四季のミュージカルなどで知られるので、音楽劇と勝手に思い込んでいたが、これはストレートプレイ。とはいえ、上演には西洋の近代劇というよりはギムナジウムを舞台に許されぬ愛を描いたという意味では萩尾望都竹宮惠子の描いた漫画の世界観に近いのかもしれない。
こういう少女漫画的な世界を舞台化して上演するのには宝塚歌劇団のように全員が女性で演じる方法や「Studio Life」のように女役も含めて全員男性で演じる方法もあるが、今回の「春のめざめ」が興味深いのは男性役を基本的に男性が演じること2・5次元演劇的な空気を醸し出しながらも、少年ぽさを残した自殺する男の子の役を女性が演じたことだ。少年役を女優が演じるのは日本の小劇場演劇の常套手段であり、男優と男役の女優をどのように使い分けているのか。それほど特別な意味はないのかもしれないが、この舞台を見ていてそこが少し気にかかった。

◆スタッフ
作:一川華(HANAʼ S MELANCHOLY)
演出:大舘実佐子(HANAʼ S MELANCHOLY)
照明:松田桂一
音響:きみどり
広報美術:松島遥奈
スチール撮影:北村尚
制作:徳丸ゆいの


◆キャスト
A班 ドイツver.
照井健仁 近藤まこと 溪美智
井口大地 廣瀬楽人
鈴木彩乃 佐藤琴音 福嶋望実
森さとる 林加奈