下北沢通信

中西理の下北沢通信

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映画「サマーフィルムにのって」@アップリンク吉祥寺

映画「サマーフィルムにのって」@アップリンク吉祥寺

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青春映画の中には部活ものというジャンルがあり、高校演劇を取り上げた「幕が上がる」をはじめ、アニメ(「映像研には手を出すな!」)、ブラスバンド(「劇場版 響け! ユーフォニアム~届けたいメロディ~」)、チア(「チア・ダン」)、バンド、書道(「書道ガール」)、ボート部、男子シンクロなど様々な対象を描いてきた。「サマーフィルムにのって」で描かれるのは映画を撮影しようとしている仲間たちで、映画監督が映画を撮ろうとする若者たちを描くわけだから、似たような話はこれまでもいくつもあったとは思うけれど、この作品が面白いのはそれを遂行する中心人物が女の子であり、しかも撮ろうとしている映画が時代劇だというところにあると思う。
もともと、この映画に興味を持ったのは脚本を担当しているのがロロの三浦直之だったことだ。若手有望株と言われていた三浦もキャリア的には中堅に差し掛かりつつあるが、最近の縦横無尽の活躍ぶりには特筆すべきものがあって、ロロを中心とした演劇での活動はもちろんだが、ともにNHKドラマとして創作された『あなたのそばで明日が笑う 』『腐女子、うっかりゲイに告る。』は主人公の繊細な心のひだを見事に捉えた秀作で、映像においても注目すべき才能と考えていたからだ。
もうひとつの目的が乃木坂46出身の女優、伊藤万理華の演技を見てみたかったこと。乃木坂のファンではないので伊藤の現役アイドル時代のことはまったく知らなかったのだが、月刊「根本宗子」第17号「今、出来る、精一杯。」、月刊「根本宗子」第18号「もっとも大いなる愛へ」と根本宗子作演出の演劇舞台では見ていて、なかなか面白い個性を持った女優だと注目していたからだ。
それで見ての感想がどうだったかというとこれがとてもよかった。そしてこの映画にはロロの人気シリーズで最近完結した「いつ高シリーズ」とよく似た空気感があり、映画を撮る高校生を描くという意味でもシンクロしている部分があり、この辺りの作品が好きだった演劇ファンは必見だろうと思う。
そしてもちろんこの映画には青春部活映画というだけでなく、タイムスリップを主題としたSF映画としての側面もあり、ここにも様々な先行作品へのオマージュが込められている。

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