下北沢通信

中西理の下北沢通信

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MUM & GYPSY 15th anniversary year vol.1「四月生まれの雷」@新宿ルミネ0

MUM & GYPSY 15th anniversary year vol.1「四月生まれの雷」@新宿ルミネ0

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「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。 そのなかに、つまっている、いくつもの。 ことなった、世界。および、ひかりについて。」は2013年に発表してから10年、ヨーロッパやアジアなど多くの土地で発表してきました。
「Light house」は、那覇文化芸術劇場なはーとのこけら落としプログラムとして2022年2月に発表、東京芸術劇場シアターイーストでも公演を実施しました。

展示作品『四月生まれの雷』では、4週にわたり戯曲を書き下ろします。『てんとてん〜』のロビーでは、Chapter 1「春のかみなり」、Chapter 2「あたらしい宿」、『lighthouse』のロビーでは、Chapter 3「四月生まれの」、Chapter 4「あたらしい窓」も含めた全編の展示を行います。

"四月生まれの雷"

遠く響く雷鳴が耳まで届く、四月。窓よりずっと向こうだった、たったいま生まれた雷がどこか丘に落ちたのは。その瞬間、駆け巡って渦巻いた、まだ名前のない感情は激しかった。わたしは、わたしたちは、その音を。ここで、この部屋で聞いていることしかできないのだろうか。光に触れることができないように。身体の内側には、冷めようのない熱がたしかに在るのを感じるのに。居ても立っても居られないから、外へ出ようとおもった。いまだったら手をのばせる気がした。どこか丘に落ちた、音まで。光まで。靴を履いて。扉をあけて。瞬きすることさえ忘れてしまいたい。たとえば、新宿まで歩いていく。あるいは、新宿にて待っている。

2022.3.22 藤田貴大