下北沢通信

中西理の下北沢通信

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いつ高シリーズの続編。仕掛けられた遊びが楽しい。ロロ新作本公演『ここは居心地がいいけど、もう行く』@吉祥寺シアター

ロロ新作本公演『ここは居心地がいいけど、もう行く』@吉祥寺シアター


ロロの三浦直之によるいつ高シリーズは2015年10月上演のvol.1「いつだって窓際であたしたち」を皮切りにある高校の学生の群像を6年間で10本の連続短編演劇シリーズとして上演してきた。いつ高シリーズ自体は昨年上演されたvol.10『とぶ』で完結したのだが、今回上演された新作『ここは居心地がいいけど、もう行く』はいつ高シリーズの主要登場人物であった逆乙女(望月綾乃)と白子(大場みなみ)が登場するいつ高シリーズの20年後の現在を描いた物語として描かれている。
一応、シリーズでは番外編的な扱いの作品と思われるが、物語内では過去の作品に出てきたエピソードのことも語られるため、シリーズと同じ世界線の出来事として語られており、白子は教師として同じ高校に勤めていたり、この同じ校舎の屋上からゲリラ的にラジオ的な放送を発信していた逆乙女は現在地元のコミュニティーラジオ放送局でディレクターを務めているなどのいつ高の登場人物のその後が語られることになる。
 シリーズが6年間10本で完結したのはシリーズの作品世界が高校生たちがこの校舎で暮らしていたある時(おそらく半年間ぐらい)の出来事であり、10本の作品は登場する中心人物を変えながら、視点を変えることで展開されてきたが、物語の展開自体には限界が来ていたからではないかと思う。
 その根拠としては初期の作品には突飛な登場人物のキャラクターはあってもどちらかというと日常的な描写が主体となっていたのが、次第にファンタジーというか非日常的な要素が増えてきているが、この新作『ここは居心地がいいけど、もう行く』も三浦が好きな海外SF映画のパロディー的な要素も入りこんできて、物語を引っ張る大きな要素となっており、そうした点もいつ高シリーズから引き継いでいるかもしれない。この舞台を見ると別の人物の未来(現代)の姿を見てみたいと思わせるところもあり、さらなる続編の登場も期待してもよさそうだ。

■日程:2022年7月22日(金)〜7月31日(日)
■会場:吉祥寺シアター
■料金:
一般前売り:4500円
U-25前売り:3500円
U-18:無料(枚数限定/一律)
アルテ友の会:4000円
当日券一般:5500円
当日券U-18:4500円
*入場整理番号付全席自由席。
*未就学児はご入場いただけません。
*前売りは、クレジット決済またはコンビニ入金、事前発券が必要です。
*ご予約の変更、の再発行はできません。
*各種割引でご予約のお客様は受付で学生証をご提示ください。
*車椅子でご来場のお客様は事前にお申し出ください。
*アルテ友の会は武蔵野文化生涯学習事業団のみ取り扱い。

■脚本・演出:三浦直之

■出演:
島田桃子
望月綾乃
(以上ロロ)
大石将弘(ままごと/ナイロン100℃)
大場みな
新名基浩

■STAFF
美術:中村友美/いとうすずらん
照明:富山貴之
照明操作:山内祐太
音響:池田野歩
衣装:神田百実
舞台監督:岩澤哲野
演出助手:中村未希
演出部:桝永啓介
文芸助手:稲泉広平
イラスト:西村ツチカ
デザイン:佐々木俊
当日運営:藤井ちより
制作助手:大蔵麻月
制作:奥山三代都/坂本もも

■公式特設サイト:http://loloweb.jp/KK/Schedule/