シベリア少女鉄道「アイ・アム・ア・ストーリー」@シアターアルファ東京
離れ小島の診療所に元エリート外科医であった若い医者がやってきて、彼を中心に診療所に出入りするいろいろな人たちの人間模様が描かれる、となると近く映画も公開になる「Dr.コトー診療所」であることはこのドラマの熱心なファンとは言いがたい私の目にもはっきりと分かる。シベリア少女鉄道の場合はネタをばらすことはミステリの犯人をばらすことやマジックのタネを明かしてしまうほど重罪だと考えていて、それゆえ内容についてほとんど触れることができないのだが、今回はこの部分については作品が成立するための観客と作者の間の事前の了解事項ともいえ、まだ公演の配信は期間が終了していないので、そのことを気にするネタバレ嫌いの人もいるかもしれないが、「アイ・アム・ア・ストーリー」は作者が仕掛けた本当のトリックが炸裂する前に事前情報をして「Dr.コトー診療所」のパロディーということまでを知っておいた方がより楽しめるのではないかと思う。
とはいえ、「アイ・アム・ア・ストーリー」の本当の仕掛けはその先で炸裂する。しかも今回は二段構えである。仕掛け自体が分かりやすいという意味でも、歴代のシベリア少女鉄道の作品の中でもトップ級の作品であると思う。