下北沢通信

中西理の下北沢通信

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世界劇団「ひとよひとよに呱々の声」@こまばアゴラ劇場

世界劇団「ひとよひとよに呱々の声」@こまばアゴラ劇場


「日本最古の物語である『竹取物語』をモチーフに現代社会を抉り出す」というこまばアゴラ劇場の紹介文を読んだ時点で、この手の作品となっていることを予想すべきだったんだろうなと思ったが、古典の現代的解釈のよくない例としか思えず、私にとっては共感が持ちにくい作品となっていた。
竹取物語」がやりたいということではなく、「竹取物語」の枠組みを借りて女性のレイプの問題とか堕胎の問題とか、現代における貧困の問題を描きたかったという風に読み取れた。「竹取物語」は確かに現代人の目からすると絵空事に見えて、卑近な解釈をしないと理解しがたいことも多いが、そういう現代的解釈ではすくいとるのが難しい、もっと大きな神話的構造を持っているはず。「竹取物語」を使ってほしくはなかったとどうしても思ってしまったのである。

原作:竹取物語
作・演出:本坊由華子
日本最古の物語である「竹取物語」をモチーフに現代社会を抉り出す。
「人にあらざりけり」と称されたかぐや姫は人ではないのか。
人であること、人でないことの定義とは何なのか。
古語と現代語を駆け巡り、言葉と身体を捧げ「人とは何か」を痛烈なまでに追究する。
———これは、全ての生命への祈りである。人の世への願いである。
呱々の声に耳を傾けよ。

これまでに日本各地で上演し好評を博した衝撃作を、満を持して東京ロングラン上演!


<世界劇団プロフィール>
愛媛大学医学部演劇部を母体とし医師と医学生の劇団として結成。現在は、精神科医である本坊由華子が代表を務め、作品ごとに俳優を募るプロデュース集団として活動している。医学用語を詩的に用いた語り口「サイエンスポエム」や幻想的で熱を持った劇文体を特徴とし、躍動感溢れる身体表現を積極的に取り入れたフィジカルシアターの手法も作風の一つ。医療現場での演劇WSの開催や講演会も勢力的に行っている。


出演
森岡光(不思議少年) 本坊由華子

スタッフ
音楽:ムー・テムジン
舞台美術:カミイケタクヤ
照明:西山和宏((有)ミュウ・ライティング・オフィス)
音響:高橋克司(東温音響)
ドラマトゥルク:髙山力造
衣装:神谷侑季
宣伝美術:立木幹生(MT DESiGN)
舞台監督:山中秀一((有)現場サイド)
制作:世界劇団、合同会社kitaya505、田中直樹
協力:舞台芸術制作室無色透明