下北沢通信

中西理の下北沢通信

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小野晃太朗新作公演「口火」@アトリエ春風舎

小野晃太朗新作公演「口火」@アトリエ春風舎


思弁的な対話の断片のコラージュのように感じた。部分部分には思索の糸口としては興味深いところもあるのだが、物語の構造が複雑に感じて脈絡がたどりにくいと感じてしまった。
それというのも劇中登場人物に劇作家がいるのだが、彼女が劇中で書いている劇作の中身が劇中劇として作中に登場するメタ構造になっている上に劇中劇の人物とその外側の人物を同じ俳優か演じるため、どちらがどうなのかが入り交じってしまい、よく分からなくなってくるからだ。

戯曲・演出:小野晃太朗
何年か前に書いたものの上演することのできなかった『剽窃王』という戯曲を、全編書き直して上演します。
もともとは、資源を個人の資質に例えるようなイメージが頭の中にあって、油田が水田になっていくとか、激しいものから静かなものへと移り変わっていく、その変化の過渡期をどう過ごすかについてのお話だったのですが、今回は「休息」と「再開」についての視点を加え、技術とは、豊かさとなにか?について思いを巡らせながら編み直します。生の短さのなかで、術の長さに振り回される話です。


小野晃太朗(おのこうたろう)
劇作とドラマトゥルクをメインに活動。
日本大学芸術学部演劇学科劇作コース卒業。
最近気になることは、治療と鎮痛の違い。
2020年に『ねー』で第19回AAF戯曲賞大賞を受賞。


出演
毛利悟巳
桂川明日哥
金定和沙(青年団
堀 夏子(青年団

スタッフ
戯曲:小野晃太朗
ドラマトゥルク:松岡大貴
演出助手:村田千尋

舞台監督:鐘築 隼
照明:井坂 浩
宣伝美術:トモカネアヤカ