下北沢通信

中西理の下北沢通信

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くによし組 壁短編集 『壁背負う人々』@こまばアゴラ劇場

くによし組 壁短編集 『壁背負う人々』@こまばアゴラ劇場


くによし組 壁短編集 『壁背負う人々』@こまばアゴラ劇場を観劇。壁教団という背中に壁を背負いながら暮らさねばならないと奇妙な教義の新興宗教の人々が登場する連作短編。新興宗教とはいうがよくある演劇のようにオウム真理教統一教会など特定の宗教団体を基にその存在の理不尽さを批判するという類のものではなくて、不都合なことがたとえ起こるとしてもこれはそういうものだから仕方がないとでもいうようにある種の諦念のもとに描かれている。
 それゆえ、ある意味SF的な趣向の作品ともいえるが、印象としては不条理劇のテイストも感じたのである。

作・演出:國吉咲貴
くによし組の過去作から、架空の宗教団体「壁教」に属する人が出てくるお話と新作をまとめた短編集を上演します。


「ななめ島」
斜めになっているななめ島に引越してきた、モデル志望の女の子のお話。

「壁とアルコールとアイドル」
壁教の女とアルコール依存の女とアイドルファンの女による、アイデンティティを巡るお話。

「眠る女とその周辺について」
眠り続けてる内におじさんのように成長した美少女と、その周辺についてのお話。

「壁の人」
壁教団体居住地に暮らす人々の日常と、そこから出たい人と、壁を信じすぎた人のお話。

くによし組
國吉咲貴が2015年に東京で立ち上げた団体。
コンセプトは「異常で、日常で、シュール」。トランポリンを飛び続けるトランポリンさんの話や、睾丸が青いことがコンプレックスの、人間になったサバンナモンキーの話など、非日常の中にある日常を描いている。
関西演劇祭脚本賞・演出賞、若手演出家コンクール優秀賞、佐藤佐吉賞最優秀作品賞など受賞。


「チキン南蛮の夜」/2023

出演
國吉咲貴、永井一信
(以上くによし組)
荒波タテオ(popchicfactory)
安藤安按
柿原寛子(ザジ・ズー)
笠井幽夏子
菊池美里
輝蕗
黒澤風太
小嶋直子
タナカエミ
津枝新平
中野あき
平吹敦史

スタッフ
舞台監督 黒澤多生
照明 緒方稔記(黒猿)
音響 大嵜逸生(くによし組)
制作 宮野風紗音(かるがも団地)
宣伝美術 古戸森陽乃(かるがも団地)