【連載2回目】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI / New Album『Flora』 について聴く(2)
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中西理 AMEFURASSHIの楽曲について『ももクロを聴け!』の著者である堀埜浩二さんに聴くという企画で3回目になりますが、新アルバム『Flora』 について聴いていきたいということで今回のインタビューを開催することにしました。
(1から続く)
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中西 コンセプトアルバムとしてはももクロのものと似ていると思います。ただ、楽曲のあり方は相当違いますよね。このアルバムでAMEFURASSHIの3ボーカル1MCのダンスミュージックグループという方向性が一層明確になってきたと思います。特にここでは1MCとして主としてラップを担当する市川優月の重要性は大きく比重を増してきていて、そのラップも楽曲ごとにスタイルを変化させる多様なものとなっていて、最後のピースがはまって完成したという感じがしています。
堀埜浩二 この3作(「DROP」「Coffee」「Flora」)を続けて聴けばはっきりと分かりますが、もともとアメフラは歌唱力はあるのだけれど、今回のアルバムではっきりしているのは表現力の幅がものすごく広がっているんですね。ラップもそうですし、歌もよく聴いてみると曲によってメンバー全員が歌い方を曲に合わせたりして変えることが無理なくできるようになってきている。多少アイドルっぽい曲調である曲なんかは割とかっちりと日本語として分かりやすい歌い方をしていたり、もうダンス中心の曲というのは日本語の意味を伝えるというよりもノリで英語っぽくしたり、少しKPOPみたいにしたりとかの幅を自由に変えられるようになってきている。これはメンバーの成長がものすごく大きいと思います。今回のアルバムについては本当に積み上げでここまでのクオリティーを達成していることには理事長さんも絶賛したみたいですけど、それだけのことはあって、これがタイミング的にしっかりとライブで再現できる環境ができればまだまだ上に行けるグループだと考えています。ただ、AMEFURASSHIが上に行けるというのはいわゆるアイドルファンというのがこの音、アイドルらしからぬ楽曲というのにどこまで付いてこれるかということと、どう折り合いをつけていくかという課題もある。もともとアメフラの初期楽曲というのもライブではやるわけですから、それとのバランスの中でいい落としどころというのが見えてくればまだ面白くなるのかなと思っています。
アメフラはアルバムだけではなく、デジタルリリースのシングルも聴いてきたのですが、2023年初夏に「ALIVE」が出て、それ以降のシングル曲というのはなんでそういうリリースの仕方をするのだというのが分からず見ていたのですが、「ALIVE」以降10月に「SPIN」が出て、12月に「Colors」が出て、その後突然「Sneaker's Delight」*1が出る。これはもともと(前身の)3bjuniorの楽曲でどっちかというと僕なんかはどちらかというJazzin' Park*2の久保田さんがやっているような楽曲でこの路線の方好きだったりするのだが、AMEFURASSHIver.としてこれを出したり、その後「差し出された手をあの時握ってたら運命変わってたかな? (AMEFURASSHI Version) 」*3という今の路線とは明らかに異なる初期のアメフラっシ時代の曲をセルフカバーで出して、この2曲が挟まって、果たして次のアルバムはどんなことをやることにしているのかと思っていたら、「Secret」があってアコースティックバージョンの「Bad girl」があり、それに6月に「イニマニモニ」と続いた時にやはり「イニマニモニ」というのはそういう意味ではすごく象徴的な楽曲で、軸足としてはやはりこの辺よというのを強いメッセージとして出してきたと思います。そして、配信で出ている「Sneaker's Delight」とか「差し出された手を~」とかはあくまでもファンサービス的にやっているのでアルバムには入れないという割り切り方があったかなと思います。少なくとも同じスタプラの中でもこういうやり方をしているグループはほかにない。どなたのアイデアでこれをやっているのか。そういうことは情報も入ってこないので分からないわけですが。
中西 特に個別の情報があるわけではありませんが、3bjuniorから現在のAMEFURASSHIまで一貫して音楽プロデューサー(A&R)として携わっているのがアメフラのマネージャーであり、プロデューサーでもある佐藤守道さんであることからすれば彼が采配してやらせていることは間違いないと思います。ただ、Digzの作家たちと仕掛けているいまのアルバムの路線と過去曲のリメイクというのはまったく別々に進めていることだろうと思いますが。